「九州道ですか?」中学生が開発したSA/PAグルメ 「あられ」と「うどん」の味わい深い背景

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筆者は大学で観光系の授業をしているので、学生たちの実習に、道の駅などで販売できる地元の素材を使った商品開発を取り入れることがあるが、大学生でも斬新なアイデアを出すのは簡単なことではない。

中学生がどんな議論を経て、あられの販売にこぎつけたのか。このプロジェクトで中学校側のとりまとめをされた植木中学で社会科を担当する澤先生に直接お話を伺った。

「九州はひとつ」プロジェクト

まずは、概要を説明しておこう。現在中学校には「総合的な学習の時間」が設けられている。主に身近な地域を題材にして、実践的に学ぶ授業だ。九州では7県が一体となって観光振興を行っており、そのキーコンセプトとして、「九州はひとつ」というキャッチフレーズが使われている。

のれんをデザインモチーフにした共通ロゴも作成されており、「九州道ですか?」にも実は使われている。

古賀SAで販売に携わった生徒たち(写真:植木中学校)

総合的な時間を担当する澤先生は、「九州はひとつ」プロジェクトに取り組みたいとして福岡県庁に相談、九州全体で展開できるJR・高速道路との提携を提案され、学校の近くに高速道路が走っていることもあり、SAでの販売商品の開発を決めたとのこと。

手始めに2021年に西日本高速道路サービス・ホールディングスおよび株式会社ユニコン(下関市)と組んで、九州道古賀SAで生徒が考案した「九州鯖っちゃおどんぶり」を販売した。

今回は、その第2弾として「九州はひとつ」を体現した商品を、市内の別の中学校にも声をかけて開発することにし、提携先も西日本高速サービスからの提案で、地元直方に本社を置く米菓大手の「もち吉」に白羽の矢が立ち、「あられなら可能」という返事を得て、今回の商品の開発に動きだしたという。

古賀SAで販売の現場に立つ生徒たち(写真:植木中学校)

もち吉は、全国に200店以上の直売店を持つあられやせんべいの大手企業だが、「地元密着」を会社の基本方針の1つに据えており、販売する米菓の袋の販売者欄の住所には、実際の正式な住所の後に「字餅米もちだんご村餅乃神社前」と印刷するほど、遊び心にあふれる企業だ。

九州全体を考えて、有明海の海苔や九州醤油、辛子明太子などを原材料に使用。そして「九州道」をもじった商品名まで考えついた。

2023年2月8日には、北九州エリアのSA/PAの中でも最もにぎわう古賀SAで、生徒たちが実際に商品を販売するイベントに参加。その後は九州一円のSA/PAで7月まで販売が続けられる予定になっており、売れ行きも好調とのことである。

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