高速道路を走っていると、自治体の境界付近に、次に通過する自治体を簡単なイラストで紹介する標識が立っているのに気づく。「カントリーサイン」と呼ばれる標識だ。
高速道路の通行車への情報提供は、進行方向のインターチェンジ(IC)やサービス・パーキングエリア(SA/PA)までの距離、渋滞情報、気象、上り坂による速度低下の注意喚起といった安全に関する情報など、原則として“走行に必要不可欠なもの”に限られている。
そんな中でカントリーサインは、どこを走っているかを知る重要な情報でもある一方、観光名所や自治体のシンボルがわかりやすくイラスト化されていて、単調な高速走行に一定のアクセントを提供してくれている。
カントリーサインについては、「高速道路で見る自治体イラストの深い味わい」で取り上げているのでご一読いただくとして、今回はカントリーサインの“進化”にスポットと当ててみたい。
合戦や特産品をイラスト化する群馬県
カントリーサインは、一度設置されれば更新されることは滅多にない。走行や安全に関する重要な情報と比べると、アップデートする必要に迫られないからであろう。
例えば、関越道を練馬ICから新潟方面に向かって走れば見慣れたサインが続くし、場所によっては色褪せてイラストが見づらくなっているサインも散見される。サインのすぐ前に植樹が枝を伸ばして、見えにくくなっているものもある。
ところが、神流川(かんながわ)をわたって群馬県に入ると、カントリーサインは俄然見やすく新しいものに変わる。
最初に現れる「高崎市」こそ、デザインは以前から変わらない「神流川の戦い」(1582年、織田信長亡き後の織田方の武将滝川一益と北条氏との合戦)をモチーフにしたもので、高崎市と合併する前の旧「新町」時代のものであるが、次の藤岡市からはここ1~2年でデザインを一新したものばかりである。
まず、「藤岡市」。以前は市の花に由来する「藤娘」のデザインであったが、2022年3月に市の特産品であるイチゴ「やよいひめ」の果実と花をあしらったものへと変更された。
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