気づいてた?高速「カントリーサイン」の進化 新たな自治体のPRメディアとしての役割りも

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前橋市ではサインに採用された公募の最優秀賞作品だけでなく、惜しくも優秀賞となった4点も含め、シティプロモーションとして市の総合計画の資料の中で使用しているだけでなく、一般の個人や団体でも申請をすれば利用できるような仕組みになっている。

このカントリーサイン、いくつかの都道府県では、高速道路の脇だけでなく一般道の幹線道路の市町村境にも設置されている。中でも全自治体で力の入ったカントリーサインを備えているのが北海道だ。

一般国道に設置された紋別市のカントリーサイン(筆者撮影)

『水曜どうでしょう』でも企画になった北海道

各所のカントリーサインを確認しながら旅をするのも、北海道ドライブの楽しみである。

昨年、北海道旅行の際に立ち寄った道の駅では、その自治体のカントリーサインのマグネットまで販売されており、思わず購入してしまった。手に入れたのは下の写真の旧厚田村(今は平成の大合併で、石狩市厚田区)のマグネットで、すでに合併等でなくなった旧バージョンまで販売されているのに驚いた。

以前、北海道テレビで制作・放送されていた『水曜どうでしょう』という番組では、カントリーサインを巡る旅の企画もあったし、道内でのカントリーサインの認知は他の地域に比べて高そうだ。

左がカントリーサインマグネット、右がマンホールカード(筆者撮影)

さらに、自治体のイラストでのPR手段として、下水道のマンホールも活用している。マンホールのデザインをカード化した「マンホールカード」も人気が高い。

今回、紹介した藤岡市や玉村町、吉岡町でもマンホールカードを配布しているが、カントリーサインとは異なるデザインで、両方を見比べるとさまざまな発見がある。吉岡町のマンホールカードには、船尾滝はまったく描かれていないが、玉村町ではたまたんの頭にデザインされている「バラの花」は、マンホールカードにも描かれている。町をあげて町内のバラ園を推しているのが、よくわかるデザインだ。

世はヴィジュアル全盛であり、自治体間の観光客誘致やそれにつながる知名度アップの競争も激しさを増す一方である。そうした波に、高速道路の車窓を彩るカントリーサインも一役買っているかもしれない……。そう感じながら移りゆくカントリーサインを確認するのも高速ドライブの一興であろう。

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佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、NPO産業観光学習館専務理事、京都光華女子大学キャリア形成学部教授、リベラルアーツ・ジャーナリスト。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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