気づいてた?高速「カントリーサイン」の進化 新たな自治体のPRメディアとしての役割りも

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真っ赤なイチゴが鮮やかで、目立つデザインである。市では高速道路からもアクセスできる道の駅「ららん藤岡」近くに、2024年にもいちご狩りを楽しめる観光農園を開設したいとしており、単なるイメージではなく直接観光に結び付きそうなデザインである。

2014年に「高崎玉村スマートインターチェンジ」が設けられたことで高速道路を利用しやすくなった「玉村町」も2023年にデザインが一新された。

玉村町のカントリーサイン Before & After(筆者撮影)

町のマスコット「たまたん」と、町内にある軍配山古墳をデザインしたものである。これは町で公募したものが採用されている(こちらは下りの図案、上りは別の応募作品を採用)。

高速道路はもう一度高崎市に入るが、こちらは榛名山をバックに名産のだるまが2体並ぶインパクトのあるものとなっている。以前のサインにもだるまは描かれていたが、もう1つの高崎市のシンボルである高崎白衣大観音のほうがイラストとしては大きかった。色合いも含め、視認性が高まったと言えよう。

公募によるデザインを採用するサインも多い

関越道は続いて県都「前橋市」に入る。前橋ICは高崎市と前橋市の境界付近に設置されているので、カントリーサインは練馬方面から来ると、前橋ICへの出口をほんの少し過ぎたところにある。

こちらも、以前の「グリーンドーム前橋」の図柄から、公募で最優秀賞になった方がデザインした「臨江閣」と、「前橋市中央児童遊園 るなぱあく」の「木馬」へと変わった。

前橋市のカントリーサイン Before & After(筆者撮影)

臨江閣は、1884(明治17)年に迎賓館として建てられた近代和風建築で、国の重要文化財。るなぱあくは、前橋市民に親しまれる小さな遊園地で、木馬は今でも1回10円で乗れるという破格の物価優等生である。

そして、木馬が5台並ぶ「もくば館」も、国の登録有形文化財に登録されている。前橋市のカントリーサインは、こうした前橋市の歴史を踏まえたデザインに変わっているのだ。

るなぱあくの木馬(筆者撮影)

さらに次の「吉岡町」も公募により、デザインが新調された。しかも、デザインしたのは地元の中学2年生(当時)の生徒である。町内にある景勝地「船尾滝」がモチーフである点は変わらないが、とてもリアルになった。

関越道はこの先、渋川市、沼田市、みなかみ町へと続いていくが、この3市町のデザインも一新されて視認性が上がった。標識の重要性という意味を考えれば、安全や交通情報に関する標識に比べて重要度は低いかもしれないが、意匠が凝らされた標識を見れば、その自治体への親しみも湧くものだ。

また、サインに描かれているものが気になって調べてみると歴史や地理の勉強にもなり、それ自体が“観光情報を発信するメディア”になっている。

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