澤先生は、商品のアイデアを考える過程で九州各地のことを調べたり、商品の値段や賞味期限、売れ行きなどを考えることで経済の勉強になったりと、この取り組みを通じて大きな学習効果が上がっていることを強調した。
3月23日には、販売イベントの報告会が各中学校で開かれるとのことである。また、澤先生によれば、すでに次のプロジェクトも始動しているという。高速道路のSA/PAは単なる休憩施設というだけでなく、行き交う多くの人に対し商品の販売を通じて地域のPRを行う場であることも、生徒たちは改めて感じたことであろう。
フェリーで生まれた名物うどんもSAで
話題は大きくそれるが、このあられを見つけた桜島SAでは、もう1つユニークな商品を見つけた。それは「鴨池・垂水フェリーうどん」である。
桜島が浮かぶ錦江湾には、鹿児島市中心部と桜島を結ぶ24時間運航のフェリーの他、鹿児島市(鴨池港)と大隅半島の垂水市を結ぶフェリー航路、指宿(いぶすき)市の山川と大隅半島の根占(ねじめ)を結ぶ航路などもある。
このうち、鴨池・垂水フェリーの名物が、船内食堂にある「南海うどん」だ。「鹿児島県で知らない人はいない」と言われる名物うどんである。そのメニューが、SAの軽食コーナーでも食べられるのである。うどんをPRする大きな看板も設置してあった。
実は、フェリーもサービスエリアも鹿児島県で手広く運輸・観光事業を手掛ける、いわさきグループの経営である。そう考えると、同じ味が楽しめるのも驚くことではないことかもしれない。
船のうどんといえば、かつて岡山県の宇野と香川県の高松を結んでいた国鉄の宇高連絡船内で食べられたうどんが、思い浮かぶ。連絡船でふるさと香川に帰る帰省客にとって、真っ先に讃岐うどんが食べられるのが船内とあって、かつては乗船するやうどん屋さんに直行する「うどんダッシュ」も見られるほどの伝説的な人気を誇っていた。
瀬戸大橋の開通などの影響で連絡船が廃止されても、のちの2001年に高松駅前にその当時の味に近づけた「連絡船うどん」という名の店が出店され、2021年まで営業していた。
鹿児島市から垂水市まで、フェリーを使わず桜島SAを通る高速道路で移動することも可能だが、フェリーでも高速でも「南海うどん」が味わえるというのは、地元の人にもあるいはこうした地域密着グルメを求めてやってくる観光客にもうれしいことかもしれない。
「九州道ですか?あられ」と「南海うどん」。異郷から訪れた旅人にとって、地域の彩りに包まれた味を試せるSA/PAの存在は、有名観光地とは一味違った重要な観光資源だということを実感する鹿児島の旅であった。
【2023年3月20日15時00分追記:初出時、誤記があったため一部訂正しました】
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