クイズ 会計がわかる70題 窪田真之著
「決算書くらい読めるようになりたい」というビジネスマンのために書かれた会計の入門書。クイズが70問用意されており、クイズを楽しみながら会計力が身に付くようになっている。専門用語がわからなくてもいいように、初歩的な内容から丁寧に説明されているし、クイズに使用する決算書は簡明な図表で示されている。
こういった会計の入門書では、架空の企業の決算書が使用されることが多いが、本書では実在の企業が多数登場する。JAL、東京電力、ファーストリテイリングなど注目度の高い企業が出てくるので、読者は興味を持って読み進めることができる。
構成は、第1章が「バランスシートの謎を解く」、第2章が「損益計算書を読む」、第3章が「キャッシュフロー計算書を読む」、第4章が「上級 トレーニング」となっている。クイズのテーマは堅苦しいものばかりではなく、「ギョーザ屋とファミリーレストラン、どちらが儲かるか?」「ハンバーガーショップと居酒屋、どちらが儲かるか?」など親しみやすいものもある。
「上級トレーニング」では、最近よく話題になるM&A会計、信用リスク分析、退職給付債務の問題が扱われている。第1~3章に比べてレベルが高くなるが、注目度の高いテーマなので、ワクワクしながら読むことが出来るだろう。
著者は日本株のファンドマネジャー兼アナリスト歴23年で、毎年、100~200社の企業取材をこなしている。著者によれば「決算書を読む力とは、数字の裏に隠れている経営問題、人間ドラマをきちんと読み取る能力」。
となれば、会計は財務・経理担当者だけがわかっていればいいというものではない。総務、人事等の管理部門、営業、そして社長までが決算書を読む力を持っていなければならないことになる。
本書は会計の初心者向けに書かれているが、ビジネスの現場で必要とされるテーマを幅広く取り上げているので、さまざまな決算書を見るときに役立つことが多いだろう。保存版として手元に置いておくことをお勧めする。
(東洋経済HRオンライン編集長:田宮寛之)
中央経済社1680円
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