「パトカー抜き去り」認知症男性の大胆すぎる運転 50~60代で発症する前頭側頭型認知症の実態

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画像は本文と関係ありません(写真: Ichiro/PIXTA)
「認知症は自分の家族にはまだ関係ない」と感じていても、ある日突然やってくることがあります。いきなり介護をすることになって戸惑わないために、事前に備えておくことが重要です。理学療法士の川畑智さんが認知症ケアの現場で経験したエピソードをまとめた『さようならがくるまえに 認知症ケアの現場から』より、一部抜粋してお届けします。

思いもよらぬことで発覚する認知症

認知症と交通事故は、切っても切れない関係がある。

自分が認知症だと気づいていない場合、自損事故を起こす割合がとても高い。その一方でさっきの角を曲がるんだったと、急ブレーキを踏んで後ろから追突されてしまうというケースもある。しかしこの場合、玉突き事故を起こした真犯人が自分だとわかっていないことすらある。

このような事故を引き起こしてしまう前に、家族の方には、車体に傷がないか定期的にチェックしてもらいたい。

早めに気づくことで、事故を起こすことなく認知症ケアに移行していけるからだ。そしてそれは本人や家族だけではなく、道行くすべての人々のためでもある。

認知症に気づくきっかけとなるのは、物忘れがひどくなってきたり、道に迷うことが多くなってきたりすることが一般的ではあるが、ときには思いもよらぬことで発覚することもある。

「あと10分早く出ておけばな……失敗したな」と本城さんは悔しそうに独り言を言った。取引先での打ち合わせが思ったよりも長引いてしまい、運悪く夕方の帰宅ラッシュに巻き込まれてしまったのだ。だが、契約がうまくまとまりそうで一安心し、今日の晩御飯はなんだろうなんてことを考えながら、熊本市内を運転していた。

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