子どもが否定されたと感じる「一発アウト」の言葉 「聞いてあげている」つもりでも口を挟んでいる

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「もっとこうしてくれたら」と親の目線で接してしまいがちです(写真:Ushico/PIXTA)
医療少年院で少年の認知機能を向上させる取り組みを続けてきた宮口幸治氏が、解剖学者の養老孟司氏と、子どもの話の聞き方や、子どもを自分と向き合わせるための方法について語り合った。親がつい言ってしまう、NGの言葉についても取り上げる(本稿は、養老孟司『子どもが心配』の一部を再編集したものです)。

つねに「子どもの目線」で接する

――子どもをよく観察して、問題行動の兆しがあったらそのことにきちんと気づくことはとても大切なのだと思いますが、子どもをどのように観察すればいいか、アドバイスをいただけますか?

宮口:子どもを観察するときはつねに子どもの目線に落として、何に困っているのかを見る、ということに尽きますね。〝子ども目線〟で何に困っているかを考えると、必要な支援が見えてきます。

――子どもの話を聞くときも〝子ども目線〟が必要ですか?

宮口:それもありますが、もっと大事なのは「子どもの話をちゃんと聞く」ことです。子どもに限らず誰が相手でも、みなさん、人の話ってあまり聞かないですよね。自分では聞いてあげているつもりでも、しょっちゅう口を挟むものです。特に子ども相手だと、話がなかなか進まなかったりするので、つい焦って、ろくすっぽ聞かずに遮ってしまいがちです。

そのうえ「ああ、そうだったの。でもあなたにも問題があるんじゃないの?」みたいなことを言ったら、一発アウトです。子どもは自分の話を否定されたことで、大人が思っている以上に傷つきます。最悪、非行の原因になることすら、ありうるのです。子どもにしてみれば、親や先生からコメントが欲しいわけではない。ただ話をちゃんと聞いて、自分のことを受け入れてもらいたい、それだけです。

ですから口を挟まないだけではなく、「ちゃんと聞いているよ」というサインは出さなくてはいけません。相槌を打ってあげたり、オウム返しにしてあげたり、「大変だったね。しんどかったね」と声をかけてあげたりするといいかと思います。

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