移住人気先の静岡で活気が失われていく納得理由 移住者数は年々増加の快挙も解決しない課題

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徳川家康 静岡
静岡駅広場の徳川家康像(筆者撮影)

2022年の移住希望地ランキング(認定NPO法人ふるさと回帰支援センターによる調査)が発表され、静岡県が3年連続で1位となった。上位10県の顔ぶれは前年とほぼ同じだ。

①静岡、②長野、③栃木、④山梨、⑤福岡、⑥広島、⑦宮城、⑧和歌山、⑨群馬/神奈川

静岡、長野、山梨といった県は常に首位争いをしている常連県だ。これだけ人気が高ければ、定住人口も増えていてもよさそうだ。しかし、これらの県の人口動態、転出入の状況を調べてみると、なんとも寒々とした現実が浮かび上がってきた。

2022年の人口移動報告(総務省)によると、この10県は対前年比で日本人の転入は増加している。だが、一方で、転出も増えている。転出者数が前年よりも減ったのは宮城県だけ。その結果、転入超過は福岡、宮城、神奈川の3県のみだった。7県は移住などで人口流入があったのに、それ以上の流出があったということになる。

人口の増減はどうか。自然増減を加えた今年1月1日現在の総人口(推計人口)を前年と比較すると、10県すべてにおいて減少となっている。山梨県にいたっては2月1日現在の人口が43年ぶりに80万人を割り込んでしまった。20年間で約10万人、1割以上も減少している。コロナ禍において地方への移住がトレンドのように報じられていたが、転出や自然減という大きな壁が立ちふさがり、人口減の歯止めにはなり得ていないのが実情だ。

静岡県への移住者数は過去最高を記録したが…

移住人気3年連続トップとなった静岡県。大河ドラマ人気を当て込んだ商戦も盛んで、家康にゆかりのある静岡市や浜松市は観光客誘致に熱が入っている。GWには「どうする家康」で家康役を演じる松本潤が「浜松まつり」(5月3~5日)の最終日に参加することが発表され、話題となっている。

富士山やみかん、お茶の生産など「日本一」の冠が多い県でもある。移住人気ナンバー1の背景について大手メディアは「温暖な気候で住みやすい」「富士山や駿河湾など自然環境が豊か」と伝えていたが、実際の移住状況はどうなっているのだろうか。

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