インフレをイマイチわかってない人に贈る「冗句」 お金と向き合っていくためのスタートラインに

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物価高 インフレ
いま足元で起こっている物価高も後世にジョークで伝えられるかもしれない(写真:Ystudio/PIXTA)
電気代
<とある男が友人に言った。
「今日、電気会社の集金係と大ゲンカしたよ」
「どうして?」
「だって、あまりに電気代が高すぎるからね」
「で、どうなったんだい?」
「まあ、引き分けといったところさ。うちは電気を止められ、電気会社は1ドルも取れなかったんだから」
(92ページより)>
倹約生活
<長い間、厳しい倹約生活を送ってきた夫婦。夫が妻に言った。
「おい、喜べ。1998年以来、私たちが懸命に少しずつ増やしてきた貯金が、ついに目標額に届いたぞ」
「やったわね。これまで本当に大変だったわ。それじゃあ、新車のキャデラックが買えるくらい貯まったのね」
「いや」
夫が答えた。
「買えるのは、1998年製のキャデラックだ」
(93ページより)>

自分のなかのセンスを養う

想像してみよう。もしも「お金持ちになる本」を読んでお金持ちになれるのだとしたら、世の中はお金持ちだらけだということになる。しかし当然のことながら、そんなことはありえない。マニュアルどおり(他の人と同じ)にやればお金持ちになれるというほど、簡単なことではないからだ。

世界のマネージョーク集-笑って学ぶお金とのつきあい方 (中公新書ラクレ 783)
『世界のマネージョーク集-笑って学ぶお金とのつきあい方』(中央新書ラクレ)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

むしろ、人と同じことをやっていても意味がないわけで、本当に求められるべきは自分だけの視点である。

そして、もしかしたらそれは、ジョークを受け止めてみることで養われるものでもあるかもしれない。

「このジョークは、どこがおもしろいのか?」を見極めるセンスは、自分自身のなかにあるものだからだ。逆にいえば私たちは、ジョークを通じてそういったセンスを養うことができるわけだ。そういう意味でも、本書は意外と勉強になるのかもしれない。

いや、それ以前にまず、肩の力を抜き、笑って楽しむことこそが重要だ。そこが、これからもお金と向き合っていくにあたっての、新たなスタートラインとなるに違いないのだから。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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