インフレをイマイチわかってない人に贈る「冗句」 お金と向き合っていくためのスタートラインに

『世界のマネージョーク集 笑って学ぶお金とのつきあい方』(中公新書ラクレ)の著者、早坂 隆氏は、本書の冒頭でこのように述べている。たしかにそのとおりで、「お金持ちになる本」「お金で成功する本」といったお金関連の書籍が次々と発刊されるのも当然の話ではある。個人的には、そういうたぐいの本を読んだところでお金持ちにはなれないし、成功もできるはずはないと思っているのだが。
という戯言はともかく、もしお金に関する本をひとからげに「マネー本」とくくるのであれば、本書はかなり毛色の違ったものだと解釈すべきだろう。タイトルからもわかるように、お金にまつわるジョークを集めた本だからだ。
お金のことを楽しく学ぶためのジョーク
つまり狙いは、「ジョークや小話を通じてお金のことを楽しく学ぶ」ことであり、それは「お金持ちになる」「お金で成功する」といった品のないアプローチよりもずっと知的だといえる。
さて、はたしてどんなユーモアが紹介されているのだろうか? 第2章「経済をユーモアで」内の、【インフレ】という項目を確認してみることにしよう。
男は出されたコーヒーをゆっくりと味わいながら、持参した本を読んだ。読み終わった後、男は店員を呼んで会計を頼んだ。すると店員が、
「8ドルになります」
と言った。
「コーヒーは6ドルだったはずだが?」
店員が答えた。
「申しわけありません。お客さまが注文した時には確かに6ドルだったのですが、今は8ドルなんです。インフレがひどくて」(84ページより)>
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