インフレをイマイチわかってない人に贈る「冗句」 お金と向き合っていくためのスタートラインに

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日本でも、過去にはハイパーインフレが発生したことがある。第2次世界大戦終結後、日本国内の小売物価指数は戦前の約180倍にまで跳ね上がったのだ。そして日本はその後、高度経済成長期を経てバブル時代に突入する。

バブル期には日本製の製品が世界を席巻することになったわけだが、当時は「日本製品は品質がいいから買いたいが、値段が高くて手が出せない」というような声もよく聞いたものだ。「日本に行きたいが、物価が高くて行けない」というようなこともいわれた。

個人的にはあの時代の浮かれた空気感がとても不快だったのだが、ともあれ当時のそんな状況を反映したこういうジョークが、世界各地で流行したようである。

東京
<ニューヨークから東京にやってきた旅行者の男が、レストランに入って食事をした。会計を頼むと、女性の店員がニコニコしながらこう言った。
「サンドイッチが17ドル、オレンジジュースが8ドルになります」
男は驚いて声をあげた。
「なんだって? そんなにするのか!」
男はこうつぶやいた。
「ニューヨークの強盗はストッキングを顔にしているが、東京では脚にしている」
(89〜90ページより)>

今は「安い日本」

いまや、こうしたジョークにはリアリティがなくなってしまったかもしれない。バブル崩壊後の日本は長いデフレに苦しみ、いまでは「安い日本」という表現まで使われるようになっているからだ。残念ながら、時代の変化とともにギャグも風化してしまうものだということを実感せざるをえない。

ちなみに現在の日本ではワンコイン(500円)で牛丼やそばなどを食べることができるが、報道でよく目にするように、ニューヨークではラーメン1杯が20ドル以上する店も珍しくない。円安が進んだ結果であり、来日したアメリカ人が日本の物価の安さに驚くのは当然の話だともいえる。

<「デフレ」もダメだが「急激なインフレ」もダメ、「円高」もダメだが「急速な円安もダメ」というのだから、経済というのは随分と難儀でデリケートなものである。
こうして国民の生活は苦しくなるばかりだが、日本政府は「減税」を求める声にはどうもツレない。
「日本政府は自国民に経済制裁したいのか?」
と悪口の一つも言いたいところである。
(89〜90ページより)>

著者のこの意見には強く賛同したい。

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