やる気に満ちあふれる「目標設定」の絶妙な立て方 タスク達成を想定するか、行動の意味に主眼置くか

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なお行動の変化を実現させるために欠かせない基本要素として、著者は「目標を選ぶこと」「モチベーションを維持すること」「複数の目標を同時にさばく術を学ぶこと」「周囲のサポートをうまく利用すること」の4つを挙げている。ここではそのなかから、「目標」についての考え方を確認してみることにしよう。

目標はパワフルなモチベーションツールになる。方向を示すだけでなく、その方向に向けて本人を引っ張る力を発揮する。目標が決まると、その目標自体が、あなたのもつさまざまなリソースを達成に向けて動かすのだ。あなたは自分の精神的努力、身体的努力、お金、時間、社会関係資本[訳注 強調しあう人間関係のこと]を、目標達成のために使うことになる。(15ページより)

たとえば、「子どもをもつ」「転職をする」と決めたとしたら、長期にわたる持続的な努力が求められることになる。どんなものであれ目標が定まれば、自身のリソースを投じてそのコストを払おうという意欲を抱くことができるわけだ。

つまり、パワフルな目標は自分自身の気持ちを引っぱってくれるということ。ただし、それを実現するためには、目標が単なるひとつのタスクではなく、大きな志だと感じなくてはならないという。

目標を定める――手段を定めるのではなく

タスクではなく志と感じられる目標を設定するにあたっては、注意すべき点があるようだ。パワフルな目標によって定まるのは、獲得のための手段ではなく、「獲得したい対象」だということ。

外食をしに行くと考えてみてほしい。レストランで12ドルのカクテルを頼むのは躊躇しないのに、レストランまで乗っていく車の駐車料金に同じ金額を払うのはいやで、無料の駐車場が空くまで近所を何周か回ってくることまでするかもしれない。駐車は手段だ――レストランに到着し、食べてみたい料理を堪能するための手段にすぎない。手段にお金を払うのは気が進まないというわけだ。(17ページより)
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