やる気に満ちあふれる「目標設定」の絶妙な立て方 タスク達成を想定するか、行動の意味に主眼置くか

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たしかに夢想は心地よいものかもしれない。だがモチベーションツールとしては、ほとんど役に立たない。ここで見逃してはならないのは、目標が抽象的すぎると夢想になってしまい、行動を伴いにくくなるということ。だからこそ、“ちょうどよい抽象度”で考えることが重要なのである。

それを実現できれば、到達のために求められるべき行動を見失うことなく、目指す意図を明確にできるだろう。「幸せな気分になる」というのでは漠然としすぎているが、「メンタルヘルスを整える」とすれば、目指すべき行動が明確になる。また、たとえば「セラピーを受け始める」というように、なにから着手すべきか判断できることにもなる。

現在の自分の状態と、なりたい自分の状態を比較できるため、行動計画を立てて“現在から目標まで”の線を引きやすくなるということだ。

接近タイプか回避タイプか

外食をするという場面で目標を語るなら、「健康的な食事をする」と「不健康な食事をしない」では、どちらが好ましいだろうか。スポーツをする場面なら、目標は「勝つ」がよいだろうか、それとも「負けない」がよいだろうか。「する」ことを語る目標は、近づくべき望ましい状態を特定しているので、接近型目標と言われる。身体によい食事や勝てるプレーへと引っ張る目標だ。一方、「しない」ことを語るのは回避型目標で、避けたいと願う状況から当人を引き離す。そこにあるのは厳密に言えば目標(ゴール)ではなく、「反目標(アンチ・ゴール)」だ。(21ページより)

目標を接近型で定めるというのは、目標に近づこうとすること。現状と望む結果との間にある距離を縮めるということだ。そして回避型で定めるというのは、反目標から離れようとすることを意味する。いわば、現状と避けたい結果の間にある距離を広げるということである。

ちなみに著者は接近型目標に反応しやすい人を「接近タイプ」、回避型目標への耐性が強く、目標を回避することに熱心に取り組む人を「回避タイプ」と呼んでいる。そして、自分が接近タイプか回避タイプかを知りたいのなら、次の2文のどちらに賛同できるかを考えてみるべきだという。

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