ネガティブをポジティブに変える
「リフレーミング」とは、ネガティブなことをポジティブな枠組みに変え、別の感じ方を導き出すことを指します。例えば、「優柔不断」なら「思慮深い」、「八方美人」なら「コミュニケーション能力が高い」、「太っている」なら「貫禄がある」……といった具合です。
このように、どんなことも「別の見方」をすることができます。
そしてもちろん、自分のことにネガティブな印象を持ったときも、このリフレーミングは使えます。
「引っ込み思案な自分がイヤ」と思うなら、「自分は慎重派なんだ」と考えられますし、「よくミスをしてしまうのがつらい」と思うなら、「ミスをするのは行動が早い証拠」と考え直すことも可能です。
今感じている印象は、視点を変えればいくらでも変わります。一度試してみてくださいね。
もし、自分に関するポジティブな表現が思いつかないという人は、「自分のいいところってなんだろう?」と親しい人に聞いてしまうのはどうでしょうか。自分のことは、なかなか自分では見えないもの。友人や家族は、きっとあなたが気づいていない、いい部分を言葉にしてくれるはずですよ。
ASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある人は、ネガティブな記憶が頭から離れず、とらわれやすいといわれています。過去の経験の記憶が鮮明に再現されて、フラッシュバックのような症状を起こすこともあります。
「PTSD」(Post Traumatic Stress Disorder)という症状があります。日本語では「心的外傷後ストレス障害」と呼ばれています。これは強いストレス(ケガなども含む)を経験したあとに、それを思い出して日常生活に支障が出ることを指します。フラッシュバックはそのPTSDの症状のひとつで、過去のつらかった経験を何度も鮮明に思い出すことを指します。
また、トラウマは日本語で表わすと「心的外傷」とされ、心に刻み込まれるほどショッキングな経験を指します。
例としては戦争や災害、虐待、事故などの体験が挙げられます。
もともとPTSDやトラウマという概念は、命を脅かされるような大きな出来事や喪失によるものとして定義づけられました。しかし、ASDの人は、口論や叱責など、命を脅かされるような出来事でなくても、長期にわたって繰り返し苦痛をともなってそれが想起されてしまうことがあります。
時間が経過したからといって記憶が薄れるわけではなく、いつまでも鮮明な映像が繰り返されるという人もいて、PTSDやうつ病などの症状が出るリスクが高いと考えられています。また、ADHD(注意欠如・多動症)と、PTSDの共通性も多く指摘されています。
PTSDの患者は、うつ病、不安障害、アルコール依存や薬物依存など、他の精神疾患を合併することが多いとされています。その割合は80%近くにも及びます。
同じような出来事を経験しても、それがトラウマ化するかどうかは個人によって違います。そのため、「自分は他人に比べてメンタルが弱い」などとご自分を責めてしまう人がいますが、そんな必要はありません。そういった特質を持っているということにすぎません。
日常に影響するようでしたら、病院の精神科や心理カウンセラーに相談しましょう。