一方、眼精疲労を起こしている40〜50代では、老眼がすでに始まっているだけでなく、ドライアイを合併しているケースも少なくない。
ドライアイは、目の動きをスムーズにする潤滑油である涙が少なかったり、涙があっても蒸発が増えたり、涙が目の表面にくっつく力が低下したりして、目の表面に涙がとどまりにくくなっている状態だ。目の表面が乾いたり、まぶたでこすれるため痛みなどが起こり、目を開けているだけで疲れを感じるようになる(ドライアイについては次回の記事で取り上げる)。
また、男性ホルモンのアンドロゲンは目の潤いを保つ働きがある。女性はもともとアンドロゲンが少なく、更年期になるとさらに低下するため、ドライアイが進み、眼精疲労が強まる傾向がある。
眼精疲労をもたらす病気と受診の目安
さらに、眼精疲労をもたらす病気もあり、注意が必要だ。
具体的には、緑内障や白内障、斜位・斜視、眼瞼下垂(がんけんかすい・まぶたが垂れ下がってきて目が開きにくくなる)、乱視や不同視(左右の視力が違う)、不等像視(網膜に映る像の大きさが左右で異なる)、黄斑上膜(網膜のモノを見る黄斑の上に薄い膜が張ってモノが大きく見えたり、ゆがんで見える)などだ。
緑内障は視野が欠ける病気だが、その欠けた視野を補おうとするためピントの調節が難しくなる。斜視や斜位は視線を合わせるため毛様体を過度に使わなければならないし、眼瞼下垂も垂れ下がったまぶたの影響で視野の上側が見えにくくなるため、目が疲れやすい。
「目の疲れが翌日には治るようであれば、日常的なセルフケアで対応が可能ですが、目の疲れが続く慢性的な眼精疲労であれば、遠視や老眼、ドライアイ、ほかの眼疾患などが原因である可能性もあります。根本的な治療が必要となる場合があるので、まずは眼科を受診したほうがいいでしょう」(横井さん)
では、どういう状態になったら眼科を受診したほうがいいのか。
横井さんは、「市販の眼精疲労用の目薬を1カ月ほど使っても症状が改善しない場合が、受診の目安」と話す。症状としては、目が重い、目が痛い、目を開いているのがつらい、光がまぶしい、ぼやける、かすむ、充血している、目がしょぼしょぼする……などだ。
眼科では、まずは視力や眼圧、視野、眼球運動、目の表面(ドライアイ)や目の中(白内障や緑内障)や目の底(網膜の病気)などの検査をして、ほかの病気があるかどうか調べる。そこで病気が見つかればその治療を行い、なければ眼精疲労に有効なビタミンB12製剤の点眼薬をしばらく使ってみて、症状が改善するかをみていく。
眼精疲労では点眼薬による治療だけでなく、セルフケアも大事だ。
セルフケアでは、以下のようなことが有効だとされている。治療中の症状改善だけでなく、予防効果もあるので試してみよう。
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