中国主導のインフラ銀行に無理に参加するな 「バスに乗り遅れるな」は、本当に正しいのか

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今回のAIIBの設立にあたっては、アメリカでも賛否両論あるようだ。だが、アメリカは世界の秩序を中国にかき混ぜられたくないから、基本的にはAIIBの運営について快く思うはずはない。

では、世界のGDPの1位のアメリカと2位の中国が潜在的に敵対している場合、GDP第3位のわれわれ日本としては、どうすればいいのか。

簡単に言ってしまえば、日本は「漁夫の利」作戦で臨むことが賢い選択であると言いたい。仮に米国不在のままでAIIBがスタートした場合、中国は出資比率の多さから、好き放題に近い状況で運営をしていく可能性がある。

なぜ「アメリカに貸しを作った」と考えられないのか

ここに中途半端に日本がコミットすればどうなるだろうか。なまじ「日本はGDP世界の3位だから」と、責任と義務だけは押しつけられる構造になりがちだ。そもそも、融資案件についても明確なルールがないとされているところで、正式な手続きも経ずに、中国主導で勝手に決めるならAIIBの運用面では必ず問題が出てくるだろう。

もちろん、今後アメリカが何らかの形で動き出すのなら、アメリカと共同歩調をとることはありうる。だが、アメリカ不在のままAIIBが動きだしても、AIIBの債券の格付けがトリプルAをとれるのかは疑問だ。もし万一とれないのなら、ADBの競争力が優先され、「支配力」を維持することになり、AIIBの意味は著しく減殺されそうだ。従来と同様、日本とアメリカの主導でプロジェクトが進むことが予見される。

なるほど、欧州各国やロシア、韓国など50カ国以上が参加することにはなったかもしれない。だが、実は日本が孤立しているのではなく、日本がはいらなければ機能しないと考えるべきである。なぜだろうか。日本が参加しないと本当に困るのは中国である。資金調達を自国中心にしなくてはならないどころか、最終的には中国だけが不良債権処理に苦しむことになりかねないからだ。

そもそも、今回の場合、今から遅れてAIIBに参加しても日本の立場は発起人でもないから、立場は弱い。ましてや呉越同舟のままその他大勢に組み入れられるわけだから、経済的合理性は霞んでしまうことになる。今回はアメリカと共同歩調をとっているのだから、むしろこの点をどうしていかせないのか、私のようなビジネスマンには不思議に思えてならない。日本では、何かと言えば、アメリカの言われる通りに従わされているという意見が幅を利かせているわけだが、そうではないだろう。今回に限っては、逆にアメリカに追従したと考えずに、「アメリカに貸しを作った」と考えるべきだ。

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