国政の場で指摘されていた 福島第一原発への「不安」

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 08年4月の参議院災害対策特別委員会では佐藤正久議員(自由民主党)が、新潟県中越沖地震の際に柏崎刈羽原発で火災が発生したことを踏まえて福島第一・第二原発について触れ、「地元(福島県、佐藤議員は福島出身)からも安全確保についての緊急要望が寄せられている。どのような措置を柏崎刈羽の教訓を受け、やっているか」と質問した。これに対し原子力安全・保安院の加藤重治審議官(当時)は、「中越沖地震では原子炉が停止した状態では炉の安全には直接の影響はなかったが、その消火に非常に手間取った、消火設備が地震で破損した、あるいは自衛消防が機能しなかったという問題がある」と答え、設備強化などの対応を進めると答えている。

福島第一には化学消防車が配備されているほか、自衛消防隊が組織されている。今回の事故後の消防隊の動きは詳細には伝えられていないが、全国紙の報道などによると、作業員が浴びる放射線の限度が定められていることから十分に機能することが難しかったようだ。 

東京電力の情報開示姿勢を問題視する声もあった。07年3月、東京電力が福島第一の3号機で定期検査中に発生した臨界状態を隠蔽していたことが発覚。同年5月の参議院行政監視委員会では近藤正道議員(社民党)が、「過去の原子炉規制法33条の処分例、つまり運転停止1年、この処分例を見ても、どうして今回のようなケースが停止にならないのか。設置許可の取り消しがあってもおかしくない」と質問。これに対し、原子力安全・保安院の広瀬研吉院長(当時)は「隠蔽に対するペナルティーの法的な制度の強化は考えていない」と回答するにとどまっている。

このほかにも福島第一については、設備の老朽化を不安視する質問などがあった。国会での質疑に限っても、何度も示されていた福島第一への疑問。国内過去最悪の原発事故は、天災だけが招いたものではないとみるのが自然だろう。
(杉本 りうこ=東洋経済オンライン)

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