「子どもの自己肯定感」成長を邪魔する大人の心理 「大人の怯え」が子どもから失敗の機会を奪う

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金間:実は、僕もそう思っているんです。「子どもたちはどうしてこんなに自己肯定感が低いんだろう」と言っている大人たちこそが、いちばん自信がなくて、ビクビク接しているんじゃありませんか、と。

なにかあった時に、「大丈夫。俺がいるから」とならない。周りの目を気にして、誰かに非難されないようにいつも気を張っている。でもその「誰か」は、「仮想敵」にすぎないことも多いのです。

大人の「自己防衛」が子どもから自尊心を奪う

西岡:理系で、夏になってから選択科目を地理から日本史に変えた子がいるのですが、当初、社会科の先生がそれを止めようとしたんです。でも、本人は日本史がいいと言う。

西岡 壱誠(にしおか いっせい)/ 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当。1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。 そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている(撮影:尾形文繁)

そこで、担任の先生が「本人がこう言ってますから、自分が責任を取る」とかばったんですね。結果、その子は、いい点を取れた。自信を持って後押しできる大人がいるかどうかは大事ですね。

金間:まさに。大人たちは、「君のために言うんだよ」と言いつつ、自己防衛だったりします。

事前に言い訳を準備する人生、これが今の大学生にはとても多いんですよ。LINEを送るにも、「なんでこんなの送ったの」と言われないように考える。毎日、文句を言ってくる仮想敵を想像してコミュニケーションをとっているわけです。

西岡:いまの子どもたちは、「はい」にも「いいえ」にも手を挙げずに、「どちらでもない」に手を挙げますが、それと似ていますね。

金間:「夏と冬ではどっちが好きか」というような質問でも、周りを見て考えますからね。この状況においては、どうリアクションすれば正解なのかという。

若者の親世代は50歳ぐらいで、団塊ジュニアです。不遇の世代と言われて、「痛い目回避志向」が強いんですよね。この世代が40代だったころ、小学生たちが「とにかく間違わないように」という感覚になっていったはずです。今後もこの傾向は続くだろうと考えざるを得ないですね。

基本的に、モチベーションや気質は、好き嫌いと同じで、20歳以降は変わりません。ですから、西岡さんのように、本人への気づきを与えながら、大人たちには、理解してもらうことかなと思います。

(構成:泉美木蘭)

金間 大介 金沢大学融合研究域融合科学系教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授

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かなま だいすけ / Daisuke Kanama

北海道生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士)、バージニア工科大学大学院、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、 東京農業大学准教授、金沢大学人間社会研究域経済学経営学系准教授、2021年より現職。主な研究分野はイノベーション論、技術経営論、マーケティング論、産学連携等。著書に『イノベーションの動機づけ:アントレプレナーシップとチャレンジ精神の源』(丸善出版)、『イノベーション&マーケティングの経済学』(共著、中央経済社)など。

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西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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