「子どもの自己肯定感」成長を邪魔する大人の心理 「大人の怯え」が子どもから失敗の機会を奪う
金間:実は、僕もそう思っているんです。「子どもたちはどうしてこんなに自己肯定感が低いんだろう」と言っている大人たちこそが、いちばん自信がなくて、ビクビク接しているんじゃありませんか、と。
なにかあった時に、「大丈夫。俺がいるから」とならない。周りの目を気にして、誰かに非難されないようにいつも気を張っている。でもその「誰か」は、「仮想敵」にすぎないことも多いのです。
大人の「自己防衛」が子どもから自尊心を奪う
西岡:理系で、夏になってから選択科目を地理から日本史に変えた子がいるのですが、当初、社会科の先生がそれを止めようとしたんです。でも、本人は日本史がいいと言う。
そこで、担任の先生が「本人がこう言ってますから、自分が責任を取る」とかばったんですね。結果、その子は、いい点を取れた。自信を持って後押しできる大人がいるかどうかは大事ですね。
金間:まさに。大人たちは、「君のために言うんだよ」と言いつつ、自己防衛だったりします。
事前に言い訳を準備する人生、これが今の大学生にはとても多いんですよ。LINEを送るにも、「なんでこんなの送ったの」と言われないように考える。毎日、文句を言ってくる仮想敵を想像してコミュニケーションをとっているわけです。
西岡:いまの子どもたちは、「はい」にも「いいえ」にも手を挙げずに、「どちらでもない」に手を挙げますが、それと似ていますね。
金間:「夏と冬ではどっちが好きか」というような質問でも、周りを見て考えますからね。この状況においては、どうリアクションすれば正解なのかという。
若者の親世代は50歳ぐらいで、団塊ジュニアです。不遇の世代と言われて、「痛い目回避志向」が強いんですよね。この世代が40代だったころ、小学生たちが「とにかく間違わないように」という感覚になっていったはずです。今後もこの傾向は続くだろうと考えざるを得ないですね。
基本的に、モチベーションや気質は、好き嫌いと同じで、20歳以降は変わりません。ですから、西岡さんのように、本人への気づきを与えながら、大人たちには、理解してもらうことかなと思います。
(構成:泉美木蘭)
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