24日の所信聴取で日銀総裁候補の植田氏は初めて公式の場に登場する。金融政策の修正について何を語るのか、市場は固唾をのんで見守っている。

2017年5月、東京で開催された国際金融研究所(IIF)の春期会員総会で講演する植田和男氏(写真・Bloomberg)
日本銀行の新総裁(2023年4月就任予定)として植田和男東京大学名誉教授を充てる人事が国会に提示された。2月24日には国会で植田氏に対する所信聴取が行われ、植田氏の公式の場での初めての発言に注目が集まる。
10年続いた黒田東彦総裁体制に換わる植田新体制をどのように予想したらいいのか。所信聴取におけるポイント、今後の金融政策の見通しについて日銀ウォッチャーでもあるみずほ証券の小林俊介チーフエコノミストに聞いた。
10年続いた黒田総裁体制から植田新体制へ
──植田氏を新総裁とする人事をどう評価しますか。
植田氏がサプライズだったのは間違いないが、それはこれまで日銀総裁が日銀出身者と財務省出身者が交互に就任する「たすき掛け人事」がおおむね続いてきたからだ。植田氏は戦後で初の学者出身の総裁となる。しかし人選自体は副総裁候補の氷見野良三前金融庁長官と内田真一日銀理事を含めて納得感が強い。
まず植田氏はアメリカ・マサチューセッツ工科大学のPh.D(博士号)学位があって英語も一定以上堪能とされる。日本銀行政策委員会の審議委員、東京大学経済学科長などの経歴もあり、外交面でも強みがあったといえる。
また人柄にも魅力がある。植田氏が審議委員だった際の議事録を読むと激しい政策論議を行っているが、そのようにやりあった後でも、しこりを残さない人間性がある。植田氏と働いた経験を持つ人や教えを受けた人からはポジティブな人物評を聞くことが多い。総裁という重い職を担うにあたって、円滑な運営ができる資質があるといえる。
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