「3人の元日銀理事」が斬り込む黒田体制の功罪 早川英男氏、前田栄治氏、門間一夫氏が白熱議論

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10年におよぶ異次元緩和の末、混迷を深める日銀を、有力OBはどうみたか。

元日銀理事で現在はエコノミストとして活躍する3人が、黒田体制の「功罪」に斬り込んだ(撮影:尾形文繁)

特集「日銀 宴の終焉」の他の記事を読む

1月16日発売の『週刊東洋経済』1月21日号では「日銀 宴の終焉」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。黒田日銀が推し進めた「異次元緩和」という10年の宴は終わり、金融政策は正常化へ舵を切ろうとしている。この壮大な社会実験は何をもたらしたのか。4月に発足する新体制はどこへ向かうのか。マーケットは、日本経済は、これからどうなるのか。
東京財団政策研究所 主席研究員の早川英男氏、みずほリサーチ&テクノロジーズ エグゼクティブエコノミストの門間一夫氏、ちばぎん総合研究所 社長の前田栄治氏。3人の元日銀理事による特別鼎談を実施。この記事は本特集内にも収録しています。

変わったのはムードだけ

──異次元緩和に突き進んだ、この10年間の成果と副作用をどう評価していますか。

早川 成果の点では、景気に対し悲観的だった国民の心理が改善したことが大きかった。2013年以前は、震災影響が残り、市場は円高、株安という状況だった。

それが異次元緩和以降、円安、株高へと向かって何となく国民に歓迎ムードが生まれた。ただ、マーケットや心理面での効果があった一方、リアルの経済指標では大した成果はなかった。アベノミクスが完全雇用を実現したといわれるが、当時は団塊世代がちょうど65歳を迎える時期。労働投入ベースではそれほど雇用は増えていない。

門間 異次元緩和がタイミングに恵まれたのは確かだ。欧州債務危機が落ち着いた12年後半から世界経済は回復しており、政権と日銀総裁の交代でその波に乗った。

ただ、変わったのは空気だけで実体経済はあまり変わらなかった。アベノミクス景気は戦後最低の成長率だった。物価目標2%も達成できなかった。

前田 日銀が2%を目指し緩和すれば経済はすべてよくなるみたいな見方が以前あったが、結局はしっかり成長力を地道に高めていく努力は必要という認識が浸透したのはよかった。ただ、今はそこから成長戦略よりも財政のほうに傾いているので、いい方向に向かっているかどうかはわからないが。

早川 副作用として、いちばんの問題は財政規律が弛緩したこと。とりわけコロナ禍によって、政治家の間でも、日銀が金融緩和をしているのだからいくらでも国が支出できるという雰囲気が生まれた。

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