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「ヘッジファンドvs日銀」、国債めぐる攻防の行方 金利上昇に期待しカラ売りに懸ける市場関係者

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政策修正に伴う長期金利の上昇が、市場で格好のチャンスとなっている。

無数のドル札と一万円札
ヘッジファンドの狙いを一蹴するように、日銀の黒田総裁はYCCの修正に否定的だったが、結果的に12月に政策修正を迫られた(写真:花火 / PIXTA)

特集「日銀 宴の終焉」の他の記事を読む

1月16日発売の『週刊東洋経済』1月21日号では「日銀 宴の終焉」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。黒田日銀が推し進めた「異次元緩和」という10年の宴は終わり、金融政策は正常化へ舵を切ろうとしている。この壮大な社会実験は何をもたらしたのか。4月に発足する新体制はどこへ向かうのか。マーケットは、日本経済は、これからどうなるのか。この記事は本特集内にも収録しています。

「サンタクロース」がやってきた

「黒田サンタからのプレゼント」──英ヘッジファンド大手ブルーベイ・アセット・マネジメントは、昨年12月に行われた日銀の長短金利操作(YCC)に関する修正をこう表現する。

週刊東洋経済 2023年1/21号[雑誌](日銀 宴の終焉)
『週刊東洋経済 2023年1/21号[雑誌](日銀 宴の終焉)』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

ブルーベイは昨春から日本国債に対し、売り持ち(ショート)ポジションを取ってきた。6月時点では時期尚早とみていったんショートポジションを減らしたが、その後再び10年物国債利回り(長期金利)で、0.21%程度のポジションを積み増した。

サンタクロースがやってきたのは12月20日だ。日銀が長期金利の許容変動幅を0.25%から0.5%程度に引き上げたことを受け、翌日の長期金利は0.48%まで上昇。ブルーベイはそこで大きく利ザヤを稼いだ。同社最高投資責任者のマーク・ダウディング氏は「昨年で最も好調なパフォーマンスの一日だった」と喜びを隠さない。

日本国債のショート、つまりカラ売りは今年も続けるという。ダウディング氏は取材に対し、「各種経済指標やインフレ率の改善により、3月末には利回りの上限が0.5%から0.75%に上昇するとみている。その時点まで日本国債のショートポジションを継続する」と話す。思惑どおりの展開となれば、ブルーベイのファンドパフォーマンスはさらに上昇する(インタビューの全文はこちら)。

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