有料会員限定

日銀総裁が交代すると金融政策は結局どうなるか 5つの疑問にQ&A形式でエコノミストが答える

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 最新
拡大
縮小

4月に迫る日銀新体制の発足。これがもたらす変化やその影響を聞いた。

高所から見た日本銀行の建物
日銀の政策が変われば日本経済や市場に大きな影響も(撮影:尾形文繁)

特集「日銀 宴の終焉」の他の記事を読む

1月16日発売の『週刊東洋経済』1月21日号では「日銀 宴の終焉」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。黒田日銀が推し進めた「異次元緩和」という10年の宴は終わり、金融政策は正常化へ舵を切ろうとしている。この壮大な社会実験は何をもたらしたのか。4月に発足する新体制はどこへ向かうのか。マーケットは、日本経済は、これからどうなるのか。この記事は本特集内にも収録しています。

Q1 新総裁の当面の政策運営はどうなる?

木内 総裁が誰になっても、基本的に金融政策は正常化に向かう。過去にも総裁が交代するタイミングで金融政策が変わってきた。

週刊東洋経済 2023年1/21号 [雑誌]
『週刊東洋経済 2023年1/21号 [雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

ただ、2023年中に大きな政策修正があるとは限らない。世界景気が後退する中、日銀が金利引き上げを進めると円高加速のリスクがある。リーマン危機時の苦い経験もあり日銀内では円安よりも円高に対する警戒心のほうが強い。

総裁が代わるだけでも、政策修正予想から円高が進むおそれがある。そのため日銀は情報発信として「すぐに政策転換はしない」と強調する可能性がある。外部環境の様子を見つつ慎重に正常化を進めていくはずだ。ただし、2%の物価上昇を中長期の目標に位置づける、などの方針の修正は23年中にも実施する可能性がある。

熊野 過去10年の延長線上での政策運営は考えにくい。まずは「点検・検証」で過去の反省を行わないと次には進めない。

23年の春闘の結果がどうであれ政策転換は進む。賃上げ率が2%を上回って春闘が首尾よく進めば、目標を達成したとして出口への政策転換となる。反対に小幅な賃上げ率にとどまっても、円安によるコスト増への対策が必要だとして金利引き上げが行われるだろう。

加藤 大きな変数は2つある。1つはインフレに対する国民の怒りだ。食料の値上がりも続いている中、国民の怒りが政府を動かす力になれば、政府から日銀に政策修正の圧力がかかる。

次ページ正常化と緩和維持は二律背反ではない
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
日銀 宴の終焉
岩田規久男氏「増税容認発言で自分の首絞めた」
翁邦雄氏「黒田総裁は流行りの理論を過信した」
4月に迫る総裁交代「芸術家肌vs努力家」の行方
「政治の支配」をめぐり日銀と官邸を包む緊張感
金利上昇に期待しカラ売りに懸ける市場関係者
5つの疑問にQ&A形式でエコノミストが答える
日本の金融政策が世界で孤立した分岐点を探る
有名企業がズラリ「日銀が大株主」銘柄トップ200
日銀による「10%以上保有」は68社にのぼる
四半世紀にわたる「日銀vsデフレ」を追った秘録
実は多い行内結婚、狭くて険しい出世の道のり
4月からの新体制下で調整局面、買い場はどこか
黒田総裁が心酔した「中央銀行万能論」の問題点
早川英男氏、前田栄治氏、門間一夫氏が白熱議論
あのSBI北尾社長も「最も難しい年」と警戒態勢
植田日銀総裁候補は国会の所信聴取で何を語るか
「日銀ウォッチャー」みずほ証券・小林氏に聞く
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内