人事を通じた政策介入が続いた10年。新体制は、政治と日銀の関係にも転機となるか。
官邸が受け取った“意図”
暮れも押し詰まった昨年12月20日、日本銀行から首相官邸にこんな連絡が入った。
「長期金利の変動レンジを、プラスマイナス0.25%程度から同0.5%程度に拡大する」
重要な政策変更が行われた場合、日銀総裁が首相に電話をかけるのは慣例になっている。政策変更の有無はその日の朝に「情報」として上がってきていたので連絡そのものに違和感はなかったが、首相周辺は複雑な思いで受け止めた。
昨年夏から秋にかけて、日銀と官邸は静かな緊張に包まれていた。大幅な円安と物価高は庶民生活を直撃し内閣支持率も急落。それでも動く気配を見せない日銀に対して首相の岸田文雄の周辺では不満が高じていた。
「具体的な方策は任せるから何とかしてくれ」。首相側近の一人は当時こう話していた。
それから数カ月。ようやく日銀が腰を上げた。官邸の意向を承知のうえで年末まで決定をずらしたのだから、メッセージとしては「政治の言いなりにはならず、独立性を維持する」ということなのかもしれない。ただ、官邸内にはこんな見方も浮上している。
「この政策変更は日銀総裁人事に絡んだメッセージも含まれているのではないか」
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