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日銀の新体制に「金融&不動産」が抱く複雑な心情 あのSBI北尾社長も「最も難しい年」と警戒態勢

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超緩和の影響をよくも悪くも受けてきた主要3業界の本音を探る。

歩道沿いに並ぶメガバンクの看板
各行が今後発表する中期経営計画は要注目だ(撮影:今井康一)

特集「日銀 宴の終焉」の他の記事を読む

1月16日発売の『週刊東洋経済』1月21日号では「日銀 宴の終焉」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。黒田日銀が推し進めた「異次元緩和」という10年の宴は終わり、金融政策は正常化へ舵を切ろうとしている。この壮大な社会実験は何をもたらしたのか。4月に発足する新体制はどこへ向かうのか。マーケットは、日本経済は、これからどうなるのか。この記事は本特集内にも収録しています。

銀行|金利引き上げで恩恵享受

「サプライズだが、歓迎している」。ある銀行幹部はそう打ち明ける。景気後退が懸念されている昨年12月の日銀の金融政策修正だが、銀行業界にとっては朗報だ。金利上昇は銀行収益に追い風だからだ。

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波及効果の筆頭は、貸出金利の改善だ。日銀によれば、国内銀行の新規貸出金利は、金融緩和政策開始直前に当たる2012年11月には1%だった。それが直近の22年11月には0.6%まで下がった。日銀が金融緩和の手を緩めれば、市場金利の反転を通じて、銀行は貸出金利を引き上げやすくなる。

銀行が日銀に預けている預金(日銀当座預金)への利息も見逃せない。16年から始まったマイナス金利政策では、日銀当座預金が一定水準を超えると、マイナス0.1%の利息が徴収される。マイナス金利政策が解除されれば、当座預金残高を増やさぬよう、利息がほぼ取れない国や自治体向けにも積極的に融資する必要はなくなる。

貸し出しと並ぶ収益柱である、有価証券運用にも影響が及ぶ。銀行の有価証券ポートフォリオの大半は、日本国債が占めている。低下傾向にあった国債利回りが反転すれば、利息収入は純増する。

むろん、金利上昇はいいことずくめではない。利回りが上がると債券価格は下がるため、保有国債には含み損が生じる。加えて、金利上昇局面では預金金利も上昇するため、貸し出しや運用の原資となる預金の調達コストが膨らむ。

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