「私たちは、『トイ・ストーリー』が封切された1週間後に株式上場に打って出た……。スティーブ・ジョブズは、上場の理由をいくつか話してくれたけどーー正直言って、私たちにはちょっと疑問だった。
彼は映画公開後のタイミングを望んでいたんだ。それは映画を見た人みんなに、新しいかたちの芸術がここに生まれた、これは投資する価値があるぞ……、ってところを見せつけたかったんだと思う」
ジョブズはなぜ上場したがったのか
ティム:「これこそ、聞きたいことだったんですけど、みんなが疑問を感じていたっていう、ジョブズ氏の上場の理由は何だったんですか?」
エド:「ちょうど第1作目を作ってるところだったんだ。そんなときに上場するって言われても、誰1人として上場会社に身を置いたことなんてなかったんだからね。
それが何を意味するのかもわからなかった。
それで思ったんだよ。これは大きなミスリードになるかもしれない……。
実際、こんな意見だってあったんだ。『いくつか作品を世に出して、まずは自分たちの価値を世の中に証明しようじゃないか。上場する前に、まずは手綱を引き締めよう』って。
だけど、スティーブはまったく違う理論を展開した。彼はこう言った。
『今しかない。ディズニーとの契約は3作品だ。契約上取り交わした利益配当は、今の状況下では僕たちにとって、できるだけ望ましいかたちになってる。けど、仮に僕たちが大成功したら、僕たちの取り分はものすごく少なくなってしまう』と」
「スティーブは、契約の再交渉を望んでいた。当時のディズニーとの関係はきわめて良好だったんだけど、スティーブはこう言った。
3年が過ぎる頃に、僕たちがディズニーと袂を分かつことになっているとすれば、僕たちの存在は、彼らにとって最大の悪夢となるだろうね。なぜなら、彼らは強力な商売敵の独立を、手助けすることになるんだからね……。
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