10代の頃には、夢や希望がふくらむものです。「勉強をがんばりたい」「運動もうまくなりたい」「友だちがたくさんほしい」「趣味でも一目置かれるようになりたい」というように、叶えたいことがたくさん出てきます。ほかの人ができていることを、自分もできるようになりたいと願う。でも、なかには叶わないこともある。それで頭がこんがらがって悩むわけです。
そんなときは、何もかもを追いかけて無理に努力をするのではなく、いくつかのものはあきらめて、自分の行く道を決めることが大切なんですね。そうすれば「みんなと同じようにできない」という悩みは減っていくんです。
「好きなことを探そう」「自分のスタイルを決めよう」と言われると、「前向きに変わらなきゃいけない」という印象を受ける人もいるかもしれません。
確かに、世の中には「君は変われる」と言って若者を勇気づけようとする人もいますが、私はみなさんが変わらなければいけないとは思っていません。
人によって、変わりたい気持ちの強さは違います。「こういうところは変えたい」と思うことがあれば、変えてもいいでしょう。「こうなりたいけど無理だ」「自分にはできない」と思うのなら、変わらなくてもいいと思います。何も変えなくても、そういう考え方を知っているだけで、楽になることもあります。変わらなくてもいい。知るだけでもいいんです。
「そのままの君でいい」と言いたいわけでもない
ただ、私はみなさんに「そのままの君でいい」と言いたいわけでもありません。最近よく聞く言葉ではありますが、そう言われて安心できるかというと、そうでもないですよね。
私がみなさんに伝えたいのは、「あなたは変わることも、変わらないことも選べます」ということです。
そもそも人生は、変わるか変わらないかの二択ではありません。「この部分は変えるけど、ここは変えない」という選択をすることも多くあります。
そういう意味では、みなさんには「変えなくていい部分」を見極めてほしいと思います。自分の好きなこと、自分らしいやり方が「変えなくていい部分」です。自分らしさを大切にしながら、それ以外の部分はまわりの人にも合わせていく。その見極めができれば、心地よく過ごすことができます。
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