精神科医が語る「学校嫌いの子」に勧めたい考え方 「苦手」は本当に克服すべきことなのか?

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一方で、ほかの人から「これ、おもしろいよ」と強くすすめられても、興味を持てないこともありますよね。そして自分が人に好きなものをすすめても、興味を持ってもらえないこともある。自分の「好き」や他人の「好き」は、変えられないことも多いんです。

自分の好きなことや得意なこと、特徴、タイプは、ある程度は調整できるけど、変えられないところもある。だから好きなことは、みんなのノリに合わせて変えなくてもいい。でも、特に好きでも得意でもないことなら、みんなに合わせてもいい。そう考えて勉強や運動、友だちづき合いをしていくと、自分らしくやっていけると思います。

人に言えるような「好きなこと」がない場合は?

「そこまで好きなことはない」という人もいるかもしれません。例えば「ゲームが好きだけど、自分より好きな人や上手な人はほかにもたくさんいる」という人もいるでしょう。でも、それでいいんです。好きな気持ちは人と比べなくていいし、人に自慢できる特技でなくてもいい。

やっているとつい集中してしまって、時間がたつのを早く感じるようなことであれば、なんでもいいんです。

ゲームのような趣味でも、「部活の練習が楽しい」「この教科は集中しやすい」ということでも十分です。そういうことを中心にして、自分のスタイルをつくっていきましょう。

自分のスタイルを決めると「あきらめる」ことが増える?

自分の好きなものを中心にして、自分のスタイルをつくっていく。それは、自分の生き方を「決める」ようなことでもあります。

そうやって何か一つの道を選ぶと、ほかの何かをあきらめなければならないときもあります。例えば「趣味が合う友だちとだけつき合う」「自分が無理をしてつき合っている人とは距離を置く」と決めたら、つき合う友だちの数はこれまでより減ることもあるでしょう。

誰とでも仲が良くて、たくさんの友だちがいる自分でありたいと思う人であれば、この事実は少しショックなことかもしれません。また、親や先生などに「あきらめずに努力すること」が大事だと教えられてきた人にとっても、なかなか受け入れがたいことでしょう。

ただ、じつはあきらめるのは悪いことではありません。「あきらめる」という言葉には、もともと「明らかにする」という意味があります。真実を明らかにして、納得した上で一つのことを選ぶ、決めるということです。

「あきらめる」は、「決める」と表裏の関係になっている。何かをあきらめることで、はじめて自分のやり方を決めることができる、とも言えるわけです。

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