池袋は新宿・渋谷と違う「独自路線」を進めるか 乗換駅から目的地、文化の中心に発展…将来は?

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さまざまな要素が集まり雑然とした雰囲気こそ、巨大繁華街であるとの考えはうなずける。池袋駅周辺の魅力は、例えば西口側北部の商店街に中国の食品・雑貨店が固まり、「リトルチャイナタウン」化しているところにもある。

池袋駅西口には昔ながらの繁華街
西口側には昔ながらの繁華街もあり最近はリトルチャイナタウンとしても人気(筆者撮影)

その一方で、同じ西口側には東京芸術劇場などがあり、立教大学の学生が集まる学生街もある。どこの駅でも同じだが「水清ければ魚棲まず」なのだ。防災対策や治安対策、文化振興は重要だが、やみくもに小ぎれいにすればいいとは思わない。

駅周辺で再開発が進行中

1978年に竣工したサンシャイン60を中心とするサンシャインシティもまた、池袋の象徴だ。駅東口から通じるサンシャイン通りは、いつも若者でにぎわっている。旧豊島区役所跡地も隣接地と合わせて再開発され、2019年に高層複合ビル「Hareza池袋」へと変貌した。池袋駅周辺は現在、渋谷ほど目立ってはいないが、再開発計画が目白押しになっている。こうしたビルが今後、次々に立つ予定だ。

例えば西口側では、メトロポリタンプラザビルを除く東武百貨店、バスターミナル、西口公園などを一体化して再開発し、3棟の超高層ビルを建設する計画が進んでおり、ほどなく着工の見込み。人気店の1つであった池袋マルイも閉店、解体され、やはり新たな超高層ビルの建設が始まっている。

池袋駅西口バスターミナル
再開発が予定されている西口バスターミナル付近(筆者撮影)
池袋駅東口側の家電量販店
東口側のHareza池袋へ続く通りには家電量販店が並ぶ(筆者撮影)

これら再開発計画では、歩行者の動線に配慮した「人が歩く街」がうたわれている。それはもちろん歓迎なのだが、池袋が渋谷のコピーになってしまっては面白くない。文化とはいったい何なのか。池袋にあって渋谷にはないものは何か。たとえ器が超高層ビルになっても、そこは考えねばならないところだろう。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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