「プリキュア」が子育てやジェンダー描く深い理由 シリーズ開始から20年、大人からも愛される訳
主人公・野乃はなの「男の子だってお姫様になれる!」というセリフや、アンリの強い心は未来を生きる子供たちや現実を生きる私たちへの強いメッセージだったのではないだろうか。
ネット上では当時、アンリがプリキュアになったことが話題になっていた。
しかし、作中では「男性でありながら、プリキュアになれた」とするような過剰な演出はされておらず、「若宮アンリが再び立ち上がること」のほうに重点を置いていた。
決して価値観を押し付けるのではなく、「誰だってなりたい自分になれる」というメッセージが込められている。
女の子が仮面ライダーを好きなってもいいし、男の子がプリキュアを好きなってもいい――。作品を通して「多様な価値観」を自然に子供たちに伝え続けたこともプリキュアの偉業と言えるだろう。
プリキュアを通して多様な価値観を受け入れる
プリキュアは、『ふたりはプリキュア』のジェンダーロールの脱却から始まり、個の尊重や多様な価値観を積極的に取り入れてきた。
しかし、プリキュアは「ジェンダー意識を変える」ことが主目的ではなく、あくまでも子供たちが楽しめるアニメを前提として制作されている。
『プリキュア』の主なターゲットは、保育園や幼稚園、小学校など家庭以外の場に身を置くようになり、環境が変わってくる年頃の子供たちだ。
家族とは違う「他者」と関わり、自分とはまったく違う価値観に初めて触れることになる。新しいものに触れ、自分とは違うものを受け入れて、学んでいく時期にあたる。
プリキュアを通して、「多様な価値観」を自然に受け入れ、可能性を広げてほしいという制作側の思いが込められているのだ。
また、『プリキュア15周年アニバーサリー プリキュアコスチュームクロニクル』(講談社)によると、キャラクターデザインにも徹底的にこだわっていることがうかがえる。
『Go!プリンセスプリキュア』では、ひとりのキャラクターでも4〜6パターンのドレスが制作され、歴代のプリキュアたちの髪型にも、トレンドを取り入れたり、子供たちが真似しやすいように工夫されている。
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