放送収入の減少続く「キー局と地方局の深い溝」 配信広告やIPビジネスで描く新たな成長モデル
キー局の第3四半期決算が2月10日までに出揃った。筆者は記事(キー局決算に見る放送業界「史上最悪の危機」)で、上半期決算の数字を点検し、放送収入が大きく減少していることを指摘した。「史上最悪の危機」とタイトルをつけたが、あれから3カ月、好転する気配はない。5%程度の減少が続いており、2022年度はこのまま低調で着地するだろう。
低調が続く放送収入をカバーする「戦略」
ただいくつかピックアップすべき点がある。まずTBSだけ放送収入の減少率が低い。放送収入はタイムとスポットの2種類あるが、TBSはスポットだけで言うとわずかに前年を上回っているのだ。何が作用したのかわからないが、昨年11月の記事に書いたようにTBSの戦略が売り上げにもプラスに働いている可能性はあると思う。
もう1つ、テレビ東京も注目だ。放送収入は前年比5.5%も下がったが、決算資料では「第3四半期の売上・利益とも過去最高」「通期も増収増益」と威勢がいい。テレビ東京の単体決算は「放送事業」と「ライツ事業」の2分類で構成されるのだが、放送事業の落ち込みをライツ事業の増収増益が補って余りあるのだ。とくにアニメと配信が前年比で25%程度の増収となっている。「SPY×FAMILY」などのヒットがあったからだが、「全配信」宣言をし、「放送・配信・アニメ」のトライブリッド戦略が奏功したと言える。
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