放送収入の減少続く「キー局と地方局の深い溝」 配信広告やIPビジネスで描く新たな成長モデル

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キー局はまだコンテンツビジネスのプレーヤーとして必死に努力すれば、生き残る可能性がなくもないのに対し、ローカル局は放送収入の落ち込みとともに消えゆくしかないのだろうか。このキー局とローカル局の(古い言い方だが)南北問題のような差が開くばかりに思える。それが、放送業界の大きな課題として浮上しつつある。下手をすると、テレビ局は東京だけに存在し、それ以外の地域は取材拠点だけの、キー局の支店のようなものになってしまうかもしれない。

カギはローカル局同士での協業の模索

これに対し、途方に暮れて諦めるだけのような態度のローカル局経営者もいるようだ。それも仕方ないと思えるのは、ローカル局は企業努力をしないほうが儲かる不思議な事業だからだ。収入の7〜8割は、キー局の番組をエリア内で送信すれば得られるものだ。あとはローカルのスポンサーに対応していればお茶を濁せた。キー局の力で自分たちの売り上げがほとんど決まる。無駄に努力しても損するかもしれない。

もちろん、そんなこととは別に地域のための報道や情報番組の制作に地道な努力を重ねてきた局も多い。そんな局員ほど、ローカル局の不思議な事業構造に悩み苦しんできただろう。

ローカル局は本当に消えゆくだけなのか? 突破口のカギは、キー局との関係は維持しつつ、ネットワークとは関係なくローカル局同士での協業を模索することだと思う。

アメリカではFAST(Free Ad-Supported Streaming TV)という新しい配信サービスの形態が急成長しつつある。放送ではなく配信だが、オンデマンドではなくリニア型なのが特徴だ。VODは見る番組をユーザーが選ぶが、FASTでは番組が勝手に流れてくる。スポーツ、ドラマ、ニュースなど好みのジャンルのチャンネルを選ぶと、そのジャンルの番組が次々に配信される仕組みだ。

VODは時に番組を選ぶのが面倒になるが、FASTならドラマ好きはドラマに、スポーツ好きはスポーツにどっぷり浸り、だらだら視聴できる。そして放送と同様に、番組の間にCMも次々流れる。これまでのテレビが自分の好みにあった番組ばかり見せてくれると思えばいい。

アメリカでは急成長しており、その中でローカルニュースもチャンネルの1つとして好まれているそうだ。日本でもキー局のニュースはその時々の大きな出来事に偏り、一般的な事故事件が少ない。FASTとローカルニュースには、可能性があるのではないか。

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