維新・馬場代表「改革保守の再編は起こりうる」 日本維新の会・馬場代表が描く日本政治の未来

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塩田:岸田内閣は原子力発電所の稼働の問題でも新しい方針を出しました。

馬場:原発問題では、わが党も最初、「フェードアウト」と言っていましたが、今のエネルギー基本計画に基づいて「20%程度」は堅持していけばいいと考えています。新しい安全基準をパスして太鼓判をもらった原発は再稼働すべきです。運転期間の延長も、一律に何年と決めるのではなく、車検のようにきちんと1つずつ検査して、OKということなら延長する。耐用年数が来ているなら廃炉にしていく。そういう仕分けも要りますね。

福島の例からも明らかなように、事故が起これば完全に復興するのは無理で、そういう恐ろしさはありますが、原子力という科学技術を継承していくことは必要だと思います。原発モジュール(小型モジュール炉式原子炉の導入)も言われていますが、新しい原子力の開発に力を入れ、安全性を高めながらやっていくのは認められると思いますね。

塩田:もう1つ、去年7月の安倍元首相の銃撃暗殺事件を契機に噴き出した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題については、政治はどんな取り組みが必要ですか。

馬場:ありとあらゆる団体、企業と太いパイプをつないでいくのが自民党式のやり方ですから、こういう問題は必ず出てきます。きちっと関係を整理し、救済法のような再発防止策を徹底的に打つことができなければ、自民党に対する大きなダメージは残ります。

去年の臨時国会で、わが党の発案によって法律を作ることになり、他党との協調もあって会期末の12月10日に成立しました。できあがった法律の中身が何点かとよく言われますけど、法律がない状態と比べれば、絶対にプラスになっていると思います。宗教2世の方の問題とか、課題は残っていますので、議論は間断なく継続してやっていきます。

「立民嫌い」から一転、共闘へ

塩田:野党間の共闘の問題ですが、馬場さんはかつて野党第1党の立憲民主党について「不要な党」と明言していました。松井前代表も「立民嫌い」を明確にしてきました。

馬場:私が「日本に要らない政党」と発言したのは、好き嫌いではなく、憲法審査会もまったく開かせないという状況のときでした。憲法改正の議論をやらない、放棄するというような、立法府の人間として根幹的な部分を否定する政党は要らないと言ったのです。

塩田:昨秋の臨時国会からその立民と国会共闘を始めました。臨時国会開会前の8月26日に立民の泉健太代表が党執行部を一新して岡田克也幹事長(元外相)・安住淳国会対策委員長(元財務相)という新布陣をスタートさせ、翌27日に馬場さんが維新の後継代表に選出されました。両代表は5日後の9月1日、BSフジの番組「プライムニュース」に同時出演して同趣旨の発言を行ったのが両党の共闘の始まりと言われています。

馬場:そうです。これまでの国会は、行政監視がお題目の立憲民主党が、実際にはきちっと行政監視をせず、スキャンダルの追及とか審議の妨害とか、昔の社会党のようなことをやり続けて、いろいろな政治課題があるのに、まったく動かない状況が続きました。それで「プライムニュース」に出演したとき、私が「国会法の改正をやればいいんじゃないですか」と泉さんに申し上げたら、泉さんも「そうですね」と応じました。

塩田:憲法第53条は「総議員の4分の1以上の要求で臨時国会召集を決定する場合」に、召集期限の規定がありません。「20日以内」と明記する国会法の改正を唱えたのですね。

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