日本が難民申請者を「犯罪者」扱いする異常さ 「帰りたくても帰れない」外国人を強制送還

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一方日本では、その個人が政府から狙われているという証拠を求めるなど、保護を求める人に対して厳しい対応をとっています。

例えば、反政府デモに参加したという事実だけでは、迫害を受けるおそれを抱える事情として不十分とされた事例がありました。しかし反政府デモに参加しただけで逮捕されるような国もあり、適切な判断基準とは言えません。

また諸外国の制度では、難民申請時のインタビューに弁護士などの代理人が付き添うことが認められていますが、日本では認められていないという点も、難民申請者にとって大きな壁となっています。

「犯罪者」として印象操作をする入管庁

――送還を忌避する人の中には、犯罪歴のある人が多いとも聞きます。

入管庁は以前、送還を拒む外国人のうち、ごく一部の重大犯罪者を強調する資料を公開していました。しかし、資料で紹介されていた事例は逮捕時の情報に基づくものであり、印象操作との批判を受け修正しました。一部の犯罪者を理由に、助けを求めて日本に来た人全体を強制送還の対象とする姿勢は問題があります。

たしかに難民条約でも、重大犯罪で有罪判決を受け、その国の社会にとって危険な存在となるケースでは例外として送還を認めています。

しかしこれは、死刑などの極刑を科され得るような犯罪を指すものです。さらに、難民を送還する際は、本人の命が脅かされるおそれのある国に送還することに値するかどうか、バランスを考えなければなりません。

それにもかかわらず、改正案では「無期または3年以上の実刑を受けた者」や、「テロリズムなどの行為に関わるおそれがある者」を送還できる対象としていました。広範囲の犯罪を含む表現で、難民条約の例外を超える可能性が高いため、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はこの条文を削除することを推奨しています。

さらにこの条文は、1回目の難民申請者も送還対象としています。もしこれが成立すると、本人の難民認定の可否がわかる前でも強制送還の対象となります。これは難民申請者の認定の機会自体を奪うことになり、あってはならないことです。

——解決方法はあるでしょうか。

まず難民認定の基準を国際基準に合わせ、認定されるべき人が認定される制度とすることです。

政府が帰ってほしいと思う人たちの中には、本来保護されるべき人も含まれているのです。改正案の前にやるべきことは、難民認定制度自体の改善ではないでしょうか。

兵頭 輝夏 東洋経済 記者

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ひょうどう きか / Kika Hyodo

愛媛県出身。東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年東洋経済新報社入社、飲料・食品業界を取材し「ストロング系チューハイの是非」「ビジネスと人権」などの特集を担当。現在は製薬、医療業界を取材中。

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