デサント「V字回復」生んだ中国ビジネスの舞台裏 高級スポーツウェアとして富裕層から大人気に

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中国のデサントでの接客シーン
中国都市部ではスポーツウェアを取り入れたファッションが一般的。まだ中国進出から日が浅いが、デサントは高級スポーツアパレルブランドの地位を築いている(写真:デサント)

有名海外ブランドが入ったモールや高級ホテルが建ち並ぶ中国・上海のメインストリート、南京西路。その一等地に2022年9月、日本のスポーツ衣料メーカー、デサントの超大型旗艦店「デサント 上海DKL」がオープンした。中国内に170以上あるデサントストアの中でもDKLは特別な店舗で、商品を売るだけでなく、ブランドイメージの発信にも力を入れた体験型のフラッグシップショップだ。

DKLの出店は北京・三里屯に続く2店目。2フロアで1100平方メートル超の面積を誇る店内には、機能性を売りにしたデサントの衣料が一堂に展示され、ブランドの象徴でもあるスキーウェアを試着してスキーを疑似体験できる専用設備まである。オープン式典には中国の有名スキー選手らがゲストとして登場し、多くのメディアが駆けつけた。

中国の販売が日本、韓国を抜く

現地でデサントブランドの事業を展開するのはデサントチャイナ。中国を代表するスポーツ用品メーカーのANTA(安踏体育用品)、デサント、伊藤忠商事の3社が2016年に共同設立した合弁会社で、54%を出資するANTAが現地での事業運営を担っている。

そのデサントチャイナの成長ぶりが凄まじい。日本のようなスポーツ量販店がない中国では直販が商売の基本。同社は商業施設内を中心に短期間で店舗数を増やし、2021年度のデサントブランドの現地売上高は日本円換算で400億円を突破した。

デサント単独で展開するマンシングウェア、アリーナなど他ブランドも含めると、2021年度の中国内売上高は約540億円に達し、お膝元の国内や近年の柱だった韓国での売上高をすでに抜いた。

デサントは、2018年に大株主で長年親密だった伊藤忠商事と創業家出身の社長ら当時の経営陣が経営方針をめぐって対立。業を煮やした伊藤忠が2019年春に敵対的TOBで株式保有比率を4割にまで引き上げ、旧経営陣を一掃して経営の刷新を図った。

新体制移行後の初年度はドル箱だった韓国で反日不買運動が起き、さらに翌年度はコロナ影響に見舞われて大幅な業績悪化を余儀なくされた。しかし、新体制4年目に当たる2022年度は業績回復が目覚ましく、経常利益、最終利益とも7年ぶりに過去最高益を大幅に更新する見通しだ。

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