伊藤忠出身の社長は「デサント」をどう変えたのか 小関社長「本当の意味の改革はここからだ」

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伊藤忠商事で繊維カンパニーのトップだった小関氏は、2019年のTOB後にデサントの社長に就任。実質的に赤字だった国内事業にメスを入れ、収益性を大幅に改善させた(撮影:今井康一)
スポーツアパレルの大手メーカー、デサントの業績が好調だ。2023年3月期業績は経常利益が100億円(前期は約75億円)の大台を大幅に突破し、韓国事業が絶好調だった2016年3月期以来、7年ぶりに過去最高益を更新する見通し。
同社は経営方針をめぐって、大株主で長年親密だった伊藤忠商事と創業家出身の石本雅敏社長ら当時の経営陣が対立。業を煮やした伊藤忠が2019年春、異例の敵対的TOBで株式保有比率を4割まで引き上げて経営陣を刷新し、直前まで伊藤忠の繊維事業の責任者だった小関秀一氏をトップとする新体制がスタートした。
それから4年。新体制下の改革で収益体質の改善が進み、次はいよいよ国内でのブランド再構築に取り組む。これまでの改革の手応えと今後の展開を小関社長に聞いた。

ーー新体制4年目の2023年3月期業績は過去最高益を更新する見通しです。何が変わったことが大きいですか。

就任初年度に収益柱の韓国で大規模な反日不買運動が起き、2年目からは新型コロナも重なって大変だったが、大きな課題だった国内事業の収益性が改善している。売り上げより採算重視の考え方が社内に浸透し、国内できちんと利益を出せる体質に変わった。

また、合弁の中国デサント事業が非常に好調だ。まだ本格進出から年数は浅いが、プレミアムなスポーツブランドとして独自のポジションを確立し、富裕層を中心に売れている。ロックダウンがあったにもかかわらず、2022年にデサントチャイナの売上高は現地通貨ベースで前年に比べて3割近く伸びたほどだ。

年に何十回もの在庫処分のセールを行っていた

ーー社長に就任後、国内事業の実情を知ってひどく驚いたそうですね。

社長になってすぐ、秘書から「明日は週末のファミリーセールの準備に駆り出されているので、秘書業務ができません」と言われた。それで気になって社内で聞いて回ったら、この会社は年間に何十回も在庫処分のファミリーセールをやっていることを知った。

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