スポーツ衣料メーカー大手、デサントが全国主要都市で展開する直営店で2月半ば、店頭の商品陳列がガラリと変わった。一番目立つ場所に並ぶのは、アウターを中心とした「デサント オルテライン」シリーズの商品群。同社が得意としてきたスポーツシーンではなく、外出時の着用、いわゆるタウンユースを念頭に企画・デザインした商品だ。
その直前に開催した2023年春物の新商品発表会で、国内事業を統括する小川典利大取締役はこう意気込んだ。「機能性が高く、動きやすい服を普段から好んで着用される方が非常に増えている。スキーなどの競技用ウェアで培ったノウハウを活かし、そうした成長市場を取り込んでいきたい」。
タウンユース用の商品数を3倍に拡充
これまでタウンユース用の「オルテライン」シリーズは展開数自体が少なかったが、雨風を凌ぐアウトドアテイストのシェルジャケットをはじめ、コーチジャケット、パーカー、パンツなど53品目を新たに投入。前年からの継続モデルを含めると、2023年春シーズンの展開商品数は80を超え、一気に前年の3倍近くにまで増えた。
今回の新商品は軽さや伸縮性、蒸れにくさなどに優れた高機能素材と独自のパターン技術を使用し、「機能性と動きやすさにとことんこだわった」(小川氏)。加えて、普段使いや着回しがしやすいよう、主張しすぎない都会的なデザインを意識したという。
価格はシェルの最上位モデルが6万円台、コーチジャケットが約3万円、パンツも約2万円とデサントの商品としては高額だ。同社はスポーツ量販など小売店への卸売りを商売の中心としてきたが、「オルテライン」シリーズはブランド直営店と公式オンライン、一部のセレクトショップのみで販売する。
デサントは韓国、中国市場では高級スポーツアパレルブランドとして高い人気を集めている(詳細はこちら)。一方、お膝元にもかかわらず、国内におけるブランドイメージや認知度は決して高くない。今回のタウンユース用の大幅な拡充は、そうした国内の抜本的なテコ入れ策として2023年から取り組むブランド再構築の大きな柱なのだ。
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