ケンタッキーが「バーガー」に名称変えた深刻理由 2018年以来、目標に掲げてきた「利用の日常化」
ただ、期間限定商品だけでは、日常利用という市場において、ほかのチェーンに比肩できない。何しろ「ランチ」にしても、KFCではつい3〜4年前にやっと始めたばかりだが、ほかのチェーンでは開業後何十年も展開してきた蓄積があるのだ。
次なる戦略は「定番の強化」
そこでKFCが取り組んだ次なる戦略が、今回の「定番の強化」というわけである。
これまでのチキンフィレサンド、和風チキンカツに加えて、「辛口チキンフィレ」「チーズチキンフィレ」を展開し、「辛い物好き」「チーズ好き」の2大市場を攻略する。
さらに、これは少数派ながら、がっつり食べたいというニーズに応えるのがパティを2枚にした「ダブルチキンフィレ」だ。
注目したいのは、人気のある2つの味をしっかり押さえながらも、商品としてはシンプルな構成になっている点だ。つまり定番のチキンフィレをベースに、加えるソースによってバリエーションを広げている。メニューが増えても仕込みの手間が増えるわけではないので、オリジナルチキンを従来通り丁寧に提供しながら、メニューの多様性というニーズにも応えられる。
そしてやはり、日常化を進めるうえで「サンド」から「バーガー」への名称変更は欠かせない決断だったと言える。
前述の小室氏の言葉にもあったように、サンドという名称は知名度が低く、バーガーのように一大ジャンルを形成できていない。形状はバーガーチェーンの提供するチキンバーガーと変わりなく、場合によっては味も勝っているのに、「サンド」を名乗っているだけで損をしていることになる。
またあくまでもイメージだが、「サンド」より「バーガー」のほうがお腹がいっぱいになりそうだ。
名称の変更については社内でもさまざまな意見があったことだろう。小室氏によると「40年変わっていなかった名称ということで、社員にとってはなじみがあり、誇りに思っている社員もいたが、グローバルで見るとすでにバーガーと呼んでいる国も複数あるので、日本がサンドという名称にこだわる必要はない」という。
日本には「バーガー」という名称が一般的になる前に上陸したためサンドの名称が使われたが、最初からバーガーの名称を使用した国もあるのだろう。
名称変更、そしてメニュー拡大等の影響は実際に表れてきている。小室氏によると、バーガー全体の売り上げについては発売当初予想の2倍に、その後落ち着いてからも1.5倍程度になったという。これにはいくつか理由がある。
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