EXIT・兼近大樹に擁護と批判が飛び交う2つの理由 複数テーマを混在させ、善悪に分ける危うさ

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しかし、ネットが発達し、日ごろ「見たいものを選んで見て、見たくないものは見ない」という生活を送っている人なら、テレビでもそれができるはず。「兼近さんを見たくない」という人が多ければ営利企業である民放各局は起用を減らすでしょうし、わざわざネット上で他人の仕事をコントロールしようとする姿勢に恐ろしいものを感じてしまいます。

報道・情報番組に「そっち側」は必要か

その一方で批判に「一理ある」と思わされるのが、時事を扱う報道・情報番組への出演。兼近さんは「めざまし8」(フジテレビ系)、「ワイドナショー」(フジテレビ系)、「ABEMA Prime」(ABEMA)に出演していますが、「加害者側が出るのはどうなのか」「出演者としてふさわしい存在なのか」という声には耳を傾ける必要性を考えさせられます。ただ、この点でも兼近さんに限らず芸能人や文化人なども含め、報道・情報番組の出演者についての議論が進んでいません。

兼近さん自身、2日の「ABEMA Prime」で、「僕は加害側の人間なんで、『そっち側の人間の気持ちもわかる』ということでコメンテーターとしてここに呼ばれているところもあるので、ほかの方とは違った視点で僕は見ていけるので、今後もこの番組では頑張っていきたいと思っています」と出演の意義を語りました。

しかし、「兼近さんの言う『そっち側の人間』『ほかの方と違った視点』が報道・情報番組に必要なのか」と言えば意見が分かれるところでしょうし、ネットを見る限り、現時点では否定的な声が多いようです。もともと兼近さんを起用した制作サイドの意図がはっきりしないため、「きっと若者に人気があるからだろう」という見方が大勢を占めていました。

とりわけ「めざまし8」は“スペシャルキャスター”という立ち位置で出演していましたが、「何が“スペシャル”なのか」は伝わってきません。兼近さんに限らず報道・情報番組の出演者には、日ごろ「何でこの人?」と疑問の声が挙がる人も多く、それが制作サイドに対する不信感につながっていました。その意味で批判を受けるべきは兼近さんではなく制作サイドであり、過去の過ちを絡めて「辞めろ」という必要性は感じられないのです。

兼近大樹に記者会見が不要な理由

記者会見については、兼近さん自身、「記者会見はする必要がないです。何についての会見かがまずわからなくて、それが難しい」と話していましたが、これまでも自ら隠すことなく発信し続けてきただけに必要性は薄いでしょう。

兼近さんは2日の「ABEMA Prime」で、「今後は生きづらさを抱えている人や被害に遭った方とかに支援をしていく。僕自身もそういう方がいることを広めていくということだと思うんですよね」と自身の活動スタンスを示していました。

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