帰国してからは10数年ぶりの日本社会に馴染むのに苦労しつつ、ありとあらゆる婚活をして相手を探したという恭子さん。しかし、自分の出し方に試行錯誤せざるを得なかったと振り返る。
「年齢や学歴よりもコミュニケーションの楽しさやフィーリングを重視していました。でも、アメリカでの経験を話すと、『へー、英語ペラペラなんだ、すごいね』という通り一遍の反応があるだけ。あとは私が相手の話を一生懸命に聞いて盛り上げていました。アメリカや大学院の話はしないほうがいいのだと感じましたが、それでは私の(人生経験の)半分以上がなかったことになってしまいます」
マッチングアプリで明弘さんと出会う
この状況を打開したのはマッチングアプリだった。2020年の夏、離婚経験者が多くいることで知られるアプリに登録。様々な経験をした人であれば、自分のアメリカ滞在経験もフラットに受け止めてくれるかも、と思ったからだ。実際、「いいね」を押してくれた男性6人ぐらいと会ってみた。
初対面なのに下ネタばかり話してくる変な人にも遭遇したが、まめに連絡をくれる割には慎重で丁寧な姿勢を崩さない人がいた。後の夫である明弘さんだ。
明弘さんとは1カ月間ほどはアプリ内でメッセージの交換が続いた。ついに会うことになり、指定されたのは寿司食べ放題の店。10分ほど遅刻した恭子さんは90分制限の遅れを取り戻すように食べまくりつつ、会話を始めた。
「同い年の気安さもあったのだと思いますが、最初から友だちっぽい感じでした。アメリカに長くいたことについて、『何しに行ってたの?』と聞かれて意表を突かれる思いをしたり。アメリカで学んで働いたことについて、婚活で出会った相手にたくさん話せたのは初めてでした」
このときに明弘さんが何を考えていたのかは後述する。明弘さんからは2回目のデートのお誘いがあった。しかし、恭子さんがすげなく断り、2人の縁が切れてしまいそうになった。
「次はローストビーフ食べ放題のお店に誘われたからです。私はローストビーフだけをそんなにたくさん食べたくないので、『男友だちと一緒に行ったら?』と返しました」
当時の恭子さんは同時並行で「仮交際」をしている男性が他にもいた。その余裕もあったのだとは思うが、それにしてもひどい断り方だ。一方で、初対面の女性とのデート場所を2回連続で食べ放題店にする明弘さんもだいぶ間違っている。似たり寄ったりである。
「しばらくしてから明弘さんのことを思い出して、どうしているのかなとメッセージを送りました。『今さらかもしれませんが、焼き肉にでも行きませんか』と(笑)」
ビーフが食べたかった明弘さんへの歩み寄りである。そして、彼が選んでくれた焼き肉食べ放題の店に一緒に行き、恭子さんは心地よさを確信した。
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