「なぜか眠れない」哲学者たちが考える睡眠の正体 身の回りの物事から「思考習慣」を身につける

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●カール・ヒルティ(1833~1909年)

逆に言うと、眠たいはずなのに眠れないというのは、何か心身が別のものを求めている証拠なのです。

そのことを解き明かしたのが、スイスの哲学者カール・ヒルティです。睡眠に関する著書があるくらい、ヒルティは睡眠を重視していたと言っていいでしょう。睡眠を重視していたのは、健康のためです。

しかし同時に、「眠れない夜には無理に寝ようとする必要はない」とも言っています。なぜなら、自分に向き合うチャンスだからです。

いわば眠れない夜は“神の賜物”であって、何か大事なことを考えるための機会が与えられたのだと言うわけです。

彼が敬虔なキリスト教徒であることを差し引いて考えても、この発想は理にかなっていると言えます。

徹底的に自分に向き合う

眠たいはずなのに眠れないのは、何か気がかりなことがあるからでしょう。だとするなら、その気がかりなことを放置したまま、いくら寝ようと思ってもムダなはずです。

いや、無理に気持ちをごまかしているわけですから、無理に眠ることは有害ですらあるでしょう。

それに、根本的に問題が解決していない以上、不眠が繰り返されることになります。ひいては、健康を害してしまうことにすらなるでしょう。

だから、一度徹底的に自分に向き合えば良いのです。ただ、自分では解決できないから気になっているので、そのときの自分の考えだけで解決しようと思うと失敗します。

したがってヒルティは、「誰か自分を愛してくれている人を思い浮かべ、その人ならどんなふうに助言してくれるかを考えよ」と言います。自分を愛してくれている人は、常に自分が最善の状態になるように考えてくれるはずだからです。

すでにこの世にいない人だって良いと思います。あの人だったらどう言うだろうと考えるのです。そうして眠りにつくことができたとしても、それでも人はまだ自分でも気づかない心配事や過去の出来事に悩まされ続け、それらが夢となって現れます。

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