「なぜか眠れない」哲学者たちが考える睡眠の正体 身の回りの物事から「思考習慣」を身につける
哲学者は睡眠をどう捉えてきたのか
「人生100年」と言いますが、実はその100年のうち4分の1、つまり25年分は眠って過ごすことになるのを意識したことはありますか?
ある時、私も25年分の時間は眠っていることに気づき、なんてもったいないことをしているんだとショックを受けました。
しかし、睡眠をとらないと、人は生きていくことができません。その意味ではあまりにも重要な営みなのですが、眠っているあいだは意識がないだけに、どうしてもその重要性を軽視してしまうのです。
●アリストテレス(B.C.384~B.C.322年)
睡眠の重要性に最初に着目した哲学者は、古代ギリシアのアリストテレスです。彼は、「睡眠とは感覚が動かないことだ」と言います。しかも個別の感覚ではなく、すべての感覚に共通な働きである共通感覚の停止だと言うのです。つまり、すべての機能が停止するということです。
では、なぜそのような停止が必要なのでしょうか? アリストテレスは、「生命を維持し、また再び活動するためである」と断言しています。人間は生命体ですから、休息が必要なのです。
だから眠くなるということは、心身が休息を求めているということであり、心身の欲求に抗うのは良くないのです。心か身体かのいずれかが不調をきたすでしょう。
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