「なぜか眠れない」哲学者たちが考える睡眠の正体 身の回りの物事から「思考習慣」を身につける

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哲学者が考える「睡眠」とは(写真:zon/PIXTA)
歴史上の哲学者たちは個人的な悩みだけではなく、社会問題や事件についても考えてきました。現に、大きな問題―政治的変革や戦争、自然災害、パンデミックなど―が起こるたび、哲学の英知が求められます。VUCAとも呼ばれる不確実な時代にあり、未曽有の事態の本質をどう捉え、どう考えていけば良いのか……。今や、より主観を重視した創造的な思考が求められます。
哲学と聞くと「小難しい」というイメージがあるかもしれません。しかし、哲学することは、誰もができることなのです。哲学は、次の4ステップでできます。1.疑って、2.視点を変えて、3.再構成する。そして、4.その結果を言葉で表現する。『世界が面白くなる!身の回りの哲学』を上梓した哲学者の小川仁志氏が、身の回りにあるさまざまなことを「哲学する」意義を説明します。

哲学者は睡眠をどう捉えてきたのか

「人生100年」と言いますが、実はその100年のうち4分の1、つまり25年分は眠って過ごすことになるのを意識したことはありますか?

ある時、私も25年分の時間は眠っていることに気づき、なんてもったいないことをしているんだとショックを受けました。

しかし、睡眠をとらないと、人は生きていくことができません。その意味ではあまりにも重要な営みなのですが、眠っているあいだは意識がないだけに、どうしてもその重要性を軽視してしまうのです。

アリストテレス(B.C.384~B.C.322年)

睡眠の重要性に最初に着目した哲学者は、古代ギリシアのアリストテレスです。彼は、「睡眠とは感覚が動かないことだ」と言います。しかも個別の感覚ではなく、すべての感覚に共通な働きである共通感覚の停止だと言うのです。つまり、すべての機能が停止するということです。

では、なぜそのような停止が必要なのでしょうか? アリストテレスは、「生命を維持し、また再び活動するためである」と断言しています。人間は生命体ですから、休息が必要なのです。

だから眠くなるということは、心身が休息を求めているということであり、心身の欲求に抗うのは良くないのです。心か身体かのいずれかが不調をきたすでしょう。

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