トヨタ「ヤリス」3年連続販売台数1位に潜む影 充実した車種設定と装備、SUV人気が後押し

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GRヤリス
2020年9月4日に投入されたスポーツ仕様のGRヤリス(写真:トヨタ)

5ナンバーの小型ハッチバック車として基本的な使い勝手のよさは当然ながら、ヤリス人気を支えるひとつが、外観の造形ではないか。

現行モデルでは、車名を国内向けヴィッツから世界統一のヤリスへ変更し、世界ラリー選手権(WRC)で活躍を続けるヤリスの雄姿を重ね合わせる消費者もあるだろう。必ずしもモータースポーツに興味は高くなくても、普段使う自分のクルマが、より精悍な魅力を発していることへの喜びは大きいに違いない。

さらにその印象を強めているのが、販売台数は3000台あまりに限られるが、GRヤリスの存在だ。ハッチバック車では、価格の手ごろさが大きな魅力のひとつといえるヤリスに、外観の造形が異なるスポーツ仕様をあえて設けるところは、トヨタの英断でもあるだろう。

トヨタ2000GT
名車として今も語り継がれるトヨタ2000GT(写真:トヨタ自動車)

トヨタは一般に、そつのない総合的なよさと手ごろな価格が特徴のメーカーと思われがちだが、ときに大胆な発想で挑戦する姿は過去にもあった。「トヨタスポーツ800」や「2000GT」、市販車にオーバーフェンダーを取り付けた「カローラレビン」や「スプリンタートレノ」、そのほか「セリカ」や「エスティマ」、ガルウィングドアの「セラ」など、ハッと心を躍らせるクルマを誕生させている。

せっかく大金を払って買うなら、格好いいクルマがよいに決まっている。

すべてのユーザーを見据えた装備の拡充

ターンチルトシート
座席を回転させることで乗降性を高めたターンチルトシート(写真:トヨタ自動車)

同時にヤリスには、自動駐車を支援するアドバンスト パークや、運転席の乗降性を高めるターンチルトシート(座席を回転させて乗降性を高める)などの設定があり、運転は厭わなくても駐車が苦手であったり、女性など服装を気にする場合も裾が乱れず乗降できたりといった、不安を解消する装備の配慮がある。

総力戦であり、かつ全方位な車種構成や装備の設定が、ヤリスの人気を支えているといえるだろう。

そうしたなかで、ハッチバック車で、とくに人気を得ているガソリンエンジン車について、ひとつ気になる状況がある。トヨタは昨今、ガソリンエンジン車でアイドリングストップをやめているのだ。

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