クラウンとRX「同じ心臓」持つ2車の決定的な違い それぞれのキャラクターに沿う作り分けのワザ

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リアサスペンションには新たにマルチリンク式が採用された。いわゆるFFベースのクルマには贅沢なアイテムといえる。また、後輪操舵を行うDRS(ダイナミック リア ステアリング)も採用。こうして多くのデバイスが搭載され、統合制御されているのである。

車体のサイズは全高以外ほぼ似通った範囲にありホイールベースも共通ながら、出力数値には差がつけられている。エンジンはクラウン クロスオーバーRSが最高出力272PSなのに対して、RX500h“F SPORT Performance”では275PSに。フロント電気モーターはクラウンが82.9PSに対してRXが87PSと小さな差だが、リアについてはクラウンの80.2PSに対してRXのそれは103PSにまで高められている。

バッテリーも、いずれもバイポーラ型ニッケル水素というのは同じだが、クラウンの容量5Ah、セル数192枚、総電圧230.4Vに対して、RXは容量5Ah、個数240、総電圧288Vとなる。いずれも、いちばんの理由は車両重量の差。クラウン クロスオーバーRS“Advanced”の1920kgに対して、RS500h“F SPORT Performance”は2100kgと、その差は小さくはないのだ。

走りの味付けの違いは?

このように、ほぼ同じパワートレインを使ってはいるが、実は乗ってみると、走りの味付けはまったく異なるものになっている。直接このユニットを手掛けるエンジニアは一緒でも、タクトを振るうチーフエンジニアは別であり、それぞれのクルマの背景もブランドの目指すものも異なるだけに当然とはいえ、やはり唸らされるところである。

共通しているのはアクセル操作に対する反応がダイレクトで小気味いい加速感だ。トヨタ/レクサスが長年使っているTHSⅡは圧倒的に高効率な一方、エンジン出力の一部がつねに発電に使われることなどからレスポンスは鈍く、走りの楽しさという点では希薄な面が否めなかった。それに対して、パワフルなターボエンジンを主体に、必要なときには前後の電気モーターが加勢し、有段ATで変速する走りは、ストレートなスポーティさを演出している。

昨今の多段化の流れの中でATが6速なのは、電気モーターを内蔵するためというのが大きい。しかしながら発進は基本的に電気モーターで行うのでその分のギアは不要だし、各ギアの間隔の大きさも、やはり電気モーターでトルクの谷間を打ち消せるので加速に段付き感はなく、変速ショックとも無縁なのだ。

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