クラウンとRX「同じ心臓」持つ2車の決定的な違い それぞれのキャラクターに沿う作り分けのワザ
2022年にトヨタ自動車とレクサスは、それぞれのブランドにとって非常に重要なモデルを刷新した。16代目に当たるトヨタ「クラウン」、そして5代目レクサス「RX」である。
クラウンについては改めて説明するまでもないだろう。1955年に初代モデルがデビューした日本を代表する“高級車”が遂げたあまりにも大胆な変革は、クルマ業界の中だけでなく世間一般まで巻き込んだ大きな大きな話題となった。
ひと目でわかる変化がデザインである。その正式な呼称は「クラウン クロスオーバー」。クーペ風のルーフラインを持ち、車高が上げられたボディには、大径タイヤ&ホイールが組み合わされる。SUVがはやり、セダンが廃れている中で、SUVのエッセンスを取り入れて、デザイン的にも使い勝手の面でも「乗りたくなる」クルマを目指して、行き着いたカタチである。
クラウンとRXの共通点
そして、この新しいパッケージングを実現するためにTNGAのGA-Kプラットフォームを使ったのも大きな革新だった。GA-Kプラットフォームはエンジン横置き前輪駆動(FF)が基本。初代からずっとエンジン縦置き後輪駆動(FR)レイアウトを守ってきたクラウンにとっては、未踏の領域への一歩といえる。ただし、2種類が用意されたハイブリッドパワートレインはいずれも後輪を電気モーターで駆動する4WDで、FFのクラウンは存在しない。
そしてRX。こちらはレクサスにとって世界で最も多くの台数を販売しているブランドの最重要モデルだが、新型はあえて大胆に一歩を踏み出した。ポイントは特に走り。これまでのRXは穏やかで快適な走りを身上としてきたが、その分、メイン市場であるアメリカでも退屈と言われることは多かったという。そこで新型は「対話できるクルマ、走って楽しいクルマ」というストレートなメッセージを掲げて開発された。
そんなクラウンとRXは、実は同じGA-Kプラットフォームを用いて生み出されている。そして、いずれも最高峰のモデルには新たなハイブリッドシステムを搭載した。フロントに直列4気筒2.4Lターボエンジン、電気モーター、トルクコンバーターの代わりに電子制御多板クラッチを用いる6速ATを横置きして前輪を駆動し、リアにeAxleと呼ばれる高出力電気モーターを置いて後輪を駆動するこのシステムを、トヨタでは「デュアルブーストハイブリッドシステム」、レクサスでは「DIRECT4」と呼ぶ。
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