科学調査で判明、「ストーカー予備軍」5つの要因 博多ストーカー殺人事件の容疑者は多くが合致

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日本のストーカー対策は改善すべき点が多い(写真:naka/PIXTA)

今年1月16日、福岡市の博多駅前で悲惨なストーカー殺人事件が起きた。被害者は、それまでも被害を訴えて警察に相談をしていたにもかかわらず、最悪の結末を迎えてしまった。

海外の調査によると、女性の16%、男性の7%は何らかのストーカー被害を受けているという。わが国の内閣府の調査でも、何らかのストーカー被害に遭った人は、全体の7.3%、女性に限定すると10.3%にも及んだという。

つまり、ストーカー被害というのは、他人事ではなく、世の中でかなり頻繁に起こっているものだという認識が必要である。もちろん、大半がしつこいメールや電話などの軽微な嫌がらせ行為であるが、なかには今回の事件のように重大な結果につながってしまうものもある。したがって、重要なのは、以下のような問いに対する答えを見出すことである。

・どのようなケースが長期的なストーカーとなるのか

・どのようなケースが重大な結果をもたらす危険なストーカーとなるのか

・再発するのはどのようなケースか

こうした問いに関して、欧米諸国では「リスクアセスメント」という科学的な方法を用いて、比較的正確なリスク予測ができるようになっている。しかし、わが国ではまだそのような科学的手法は用いられていない。

リスクアセスメントとは

リスクアセスメントとは、問題となる行為について、関連するリスクファクター(危険因子)を疫学的な研究によって導き出し、本人が有するリスクファクターを包括的に査定することによって、将来の危険性を予測するものである。

たとえば、身近な例で言うと、生活習慣病のリスクファクターとして、年齢、カロリーや塩分の高い食事、飲酒、喫煙、運動不足などがあるということは、常識としてよく周知されている。これらがリスクファクターであるというのは、長年の疫学的研究によって導き出された科学的事実である。

したがって、生活習慣病を予防したり治療したりするときには、まずこれらのリスクファクターがどれだけ当てはまるかをアセスメントするとともに、改善に向けて該当するリスクファクターを除去していくことが大切になる。具体的には、食生活を改めたり、禁煙をしたりという生活指導である。

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