科学調査で判明、「ストーカー予備軍」5つの要因 博多ストーカー殺人事件の容疑者は多くが合致

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ストーカーのすべてが長期間に及ぶストーキングをするわけではないし、暴力を振るうとは限らない。前者については、2週間が1つの目安だと言われており、それを超えてストーキング行為が反復されるときは、何か月もの長期間に及ぶ可能性が高くなることが見出されている。

後者については、暴力を振るった場合でも比較的軽微な場合が多いことがわかっている。しかし、研究ではストーキング事例のうち、25-35%で暴力が発生することが示されており、軽微なものも含めると暴力自体の発生は、相当な高頻度であると言える。したがって、ここで重要なことは、重大な暴力に発展するリスクを見極めることである。

ストーカーのリスクファクター

それでは、このような暴力的で危険なストーカーにはどのようなリスクファクターがあるのだろうか。メタアナリシス(複数の類似研究のデータを統合して解析した研究)の結果、重要なリスクファクターとしては、

①被害者との間に親密な関係があったこと

②過去の暴力行為や犯罪歴

③明確な脅迫を行っていること

④物質乱用(アルコールも含めて)

⑤加害者に精神病がないことなどが挙げられている(以下の図表参照。※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

ストーカー チェックリスト
(出典:原田, 2017)

また、より関連性は小さいが、留意すべきリスクファクターとしては、パーソナリティ障害、低学歴、若年、復讐の動機などが挙げられている。

こうしたリスクファクターを重要度に合わせて重みづけし、チェックリストのような形にまとめたものを用いるのがリスクアセスメントである。すでに、海外では「ストーキング評価・管理ガイド」(SAM)、ストーキングリスク・プロファイル(SRP)などといったツールが開発され、実務に用いられている。

また、その予測妥当性(重大な暴力に発展するリスクが高いと判定して、実際に暴力に及ぶことを言い当てた精度)についての評価も進められており、実用に足る精度であることが明らかになっている。

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