インボイス、業者の猛反発で決まった負担軽減策 売上税額2割、帳簿のみ可、IT補助金など続々

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ちなみに今回の改正前にすでに決まっていた経過措置では、仕入先が免税事業者であっても、2023年10月1日から2026年9月30日までの3年間は課税仕入れの80%、続く2026年10月1日から2029年9月30日までの3年間は同50%、それぞれ仕入税額控除ができるようになっている。以降は免税事業者のままでは不可だ。

なお、簡易課税制度(売上高5000万円以下)を選択すれば、いちいち個別の取引ごとに仕入税額控除をする必要はないから、活用してみたい。売上高から、一定の”みなし仕入れ”(業種ごとにみなし仕入れ率90〜40%)を差し引くことで、いっぺんに消費税額をはじき出せる。

IT導入補助金は会計ソフト購入にも使える

恩恵は税制に直接絡むものばかりではない。2022年度第2次補正予算においても、補助金などでの支援が決まった。

まず免税事業者が課税事業者に登録する場合、税理士相談費用や広報費などの持続化補助金について、現状では50万〜200万円だが、これに一律50万円が加算される。

また中小企業向けのIT導入補助金において、補助の下限額が撤廃され、会計ソフトの購入費やクラウドの利用費についても対象になった。すでに2022年1月に改正された電子帳簿保存法を受け、2024年1月からは電子取引でのやり取りは電子保存形式しか申告書類として受け取ってもらえず、義務化される。いずれ全面「電子インボイス」の時代になれば、業務の効率化に大きく貢献するだろう。

結局、インボイス登録の申請そのものも、従来は2023年3月末までだったのが、9月末までの登録が可能と半年間延長になった。事業者には登録するかどうか、結論を出すまで時間の猶予ができたといえよう。

こうした激変緩和の策はほとんど期限が区切られている。国税庁のサイトによると、2022年12月末のインボイスの登録件数は199万件。同年9月末の143万件から伸びたものの、法人よりは個人の動きがいまだ鈍いとされる。まだ時間はあるなどと思わず、いざそのときが来ても、慌てないようにしたいものだ。

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