脱会した宗教2世が「母に会えない」過酷な現実 エホバの証人と出会い、家族がばらばらに

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エホバのホームページなどによると、排斥は洗礼を受けた後に教義に違反し、その罪を悔い改めていない場合に下される最も重い処分だ。久美子さんが自ら母親に「罪」を伝えたのは、「自首すれば悔い改めていると認められる」と思ったからだ。

組織から排斥された人は、たとえ家族であっても付き合いが制限される。エホバのホームページでは排斥について次のように説明している。

<会衆のすべての成員は、排斥された人との接触や会話を避けることによって、原則に基づく愛を示せます>
<排斥もエホバからの懲らしめの一つです。(中略)悪行者との交友をやめ、その者にあいさつをしてもならないという命令です>

会うことも連絡することも許されない

排斥された久美子さんはその後、街で偶然知り合いの信者に会っても無視されるようになった。親友だった信者からもメールをブロックされた。そしてついに、家族との関わりまでも絶たれてしまう。エホバのホームページにはこう記されている。

<自分の家の外に住んでいる排斥された人と親類関係にあるクリスチャンは、不必要な交わりを避け、事務的な接触も最低限にとどめる努力を払うべきです>

久美子さんは排斥後も、正月と夏休みだけは実家に帰っていた。しかし会衆の「長老」と呼ばれる世話人役が、母親に対し、久美子さんとの交流を慎むよう告げたことで、母親は久美子さんの帰省をも拒むようになる。現在に至るまで会うことが叶わず、連絡もできない。親族の集まりがある時は、久美子さんだけ招かれなくなった。

母親と会えない状況が続く中の2022年12月、久美子さんの叔父が亡くなった。叔父はエホバの信者ではなかったが、母親は叔父ががんの闘病中だったことも、亡くなったことも久美子さんには伝えなかった。

「叔父は、経済的に苦しかった時に気にかけてくれる大切な存在でした。そんな叔父への感謝の気持ちを伝えられないままのお別れとなってしまった」

久美子さんは悔やんでも悔やみきれない。

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