「花粉で鼻がつまる人」がコロナにやられる訳 「鼻うがい」と「足あたため」の意外な効果

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もう一つ、鼻づまりに意外な効果を発揮するのが、「足を温める」ことだ。

非常に面白いことに、足湯などで足を温めると鼻の粘膜の温度が上昇し、くしゃみなどのアレルギー症状が緩和される。このことは、もう20年以上も前から観察され、医学雑誌にも報告されている。

もちろん足ではなく、鼻の粘膜を直接温めながら加湿してもアレルギー症状を一時的に改善できる。耳鼻科でスチーム療法を受けたことがある人もいるだろうし、お風呂に入ると鼻が通って楽になる経験は、誰しも経験があると思う。

ただ、スチームの器具を持っている人はそういないし、お風呂も手軽とは言いがたい。そこでおすすめするのが、「足湯」と「レッグウォーマー」だ。どちらも、足の冷えを取るだけで全身が温まり、鼻の症状が急速に改善するのを実感していただけると思う。

それだけではない。鼻の粘膜が温まると、風邪のリスクも下がるようだ。

鼻腔内の温度が低いと、風邪の一番の原因であるライノウイルスが増殖しやすいことが、アメリカ・イエール大学の研究によって明らかになっている。37℃と33℃では、後者のほうが増殖しやすい。より低い温度のほうが、免疫細胞の働きが鈍るためと見られている。

足を温めるだけで花粉症対策にも風邪対策にもなる、という一石二鳥。ぜひ取り入れてみていただきたい。

飛散シーズンが終わったら「舌下免疫療法」を

最後に、花粉症の人にはぜひ「舌下免疫療法」を頭に置いておいていただきたい。

簡単に言うと、あえてアレルゲン(スギ花粉エキス)をごく微量ずつ体に入れ続けることで、体に慣れさせてしまおう、という治療法だ。舌の下に錠剤もしくは液体薬をしばらく置いておき、飲み込むだけでいい。

治療を受けた7〜8割の人が効果(完全な症状改善、もしくは長期の改善や軽快)を得られるとされている。抗アレルギー薬の量を減らすこともできるし、何より快適に過ごせる。

ただし、基本的には月1回は通院し、少なくとも3年以上続ける必要がある。また、花粉が飛散している間は治療を開始できないので、初めての人は5月頃まで待たねばならない。

それでも試していただければと思うのは、私自身がその効果を体感しているからだ。夜は快眠、朝起きて一番に“鼻から”吸う空気は、本当に美味しい。料理の味もよくわかるし、仕事もはかどる。長丁場の治療にはなるが、月1回の通院でそんな快適な毎日が手に入るなら、なかなかのコスパではないだろうか。

久住 英二 内科医・血液専門医

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科医、とくに血液内科と旅行医学が専門。虎の門病院で初期研修ののち、白血病など血液のがんを治療する専門医を取得。血液の病気をはじめ、感染症やワクチン、海外での病気にも詳しい。

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